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最近の日中関係

(08.11)

1.総論
(1)日中双方は、国交正常化後、日中両国間の各分野における交流と協力が絶え間なく拡大・深化し、相互依存が更に深まり、日中関係が両国にとり最も重要な二国間関係の一つとなったとの認識を共有。


(2)2006年10月の安倍総理(当時)の訪中では、胡錦濤国家主席、呉邦国全人代委員長、温家宝総理と胸襟を開いて両国の未来について語り合い、アジア及び全世界の平和と繁栄のため建設的な貢献を行うことが、日中両国が果たすべき責任であることを確認。


(3)そのために、「政治」と「経済」という二つの車輪をそれぞれ力強く作動させ、日中関係を高度の次元に高めつつ、全世界の課題の解決にともに取り組む「戦略的互恵関係」を築きあげていくことで一致。また、両国首脳間の信頼関係の構築が重要であり、頻繁に首脳間の対話を行うことで一致。


(4)2007年4月には温家宝総理が公賓として訪日し、日中首脳会談、国会演説、日中ハイレベル経済対話立ち上げ会合、天皇陛下御引見が行われたほか、京都・大阪を訪問し、「日中共同プレス発表」を発出するとともに、環境・エネルギー分野の共同声明に署名。これらの中で日中両国は、アジア及び世界に共に貢献しながら双方の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の構築に向けた数多くの具体的協力で一致。


(5)2007年12月に訪中した福田総理(当時)は、温家宝総理との首脳会談、呉邦国全人代委員長との会談、胡錦濤国家主席との会談及び夕食会を行い、日中協力のアジア、国際社会に於ける重要性、責任につき一定の認識を共有(創造的パートーナー)し、また幅広い分野での「戦略的互恵関係」の具体化につき合意。さらに、北京大学での講演、CCTVインタビューを通じ、中国全土の国民、若者達に直接語りかけたほか、孔子の故郷を訪れ、思想面での日中間のつながりを想起させる機会とした。


(6)2008年5月の胡錦濤国家主席訪日は、日中平和友好条約締結30周年という重要な節目に行われた中国国家主席による10年ぶりの訪日であり、「戦略的互恵関係」の具体化を通じ、両国が協力してアジアと世界のより良き未来を共に創り上げていくとの日中関係の歩むべき方向性を示した。また、両首脳は、「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」を発出。胡主席は早稲田大学で講演を行い、「戦略的互恵関係」の更なる発展へ強い決意と意欲を示すとともに、未来志向の新たな日中関係の構築を両国国民に呼び掛けた。


(7)2008年7月には胡錦濤国家主席が北海道洞爺湖サミットの主要経済国会合等に出席するため訪日。5月に発生した四川大地震に際して中国に派遣された日本の国際緊急援助隊の代表による胡主席への表敬が行われ、胡主席からは救助・医療の両チームの派遣に対し、改めて感謝の意を表明。また福田総理との間で首脳会談が行われ、両首脳は、今後も互恵協力を積み重ね、アジアと世界に対する責任を共に果たしていくことで合意。


(8)翌8月の8日には北京オリンピック開会式に合わせ福田総理が訪中、胡錦濤国家主席との会談では「戦略的互恵関係」を更に発展させるとの方向性を改めて確認。翌週16日には高村大臣(当時)も訪中し、中国側要人との忌憚のない意見交換を実施。


(9)10月には麻生総理がASEM首脳会合に出席するために訪中し、胡錦濤国家主席・温家宝総理との間で総理就任後初の首脳会談を実施。「戦略的互恵関係」の推進を確認した。また、中国側からは日中関係を発展させていくことについて、麻生総理への期待感が示された。

 

 

2.日中経済関係
(1)日中間の「戦略的互恵関係」を経済面で推進するために、温家宝総理来日の際、日中両首脳出席の下、「日中ハイレベル経済対話」の立ち上げ会合を行った。2007年12月、北京において第1回「日中ハイレベル経済対話」を開催し、日本側は高村外相以下6閣僚が、中国側は曾培炎副総理以下8閣僚が参加し、①マクロ経済、②環境・省エネ、③貿易・投資、④地域及び国際的な経済問題の4つの議題において、率直かつ詳細な意見交換を行うと共に、日中共同で作成したプレスコミュニケを公表し、対話の成果を確認した。


(2)2007年の日中貿易総額(対香港貿易を除く)は2367億ドルとなり、暦年ベースで初めて日米貿易総額(2142億ドル)を上回った(以上、財務省速報に基づくJETRO換算)。中国(香港除く)にとっての07年の貿易総額は多い順に、①EU(3,562億ドル、前年比30.8%増)、②米(3,021億ドル、前年比15.0%増)、③日本(2,360億ドル、前年比13.8%増)。2008年上半期の日中貿易額は1296億ドル(前年比18%増)。


(3)日本からの対中直接投資は90年央をピークに一時低迷したが、中国がWTOに加盟した2001年以降は急速に増加。2007年の日本の対中直接投資は36億ドルで、前年比24%の大幅な減少となったが、香港、バージン諸島を除けば、日本は韓国に次ぐ第2の投資国(中国商務部統計)。07年の日本の対中投資減少の背景には、製造業における大型投資案件が一巡したこと及び中国の外資導入政策の動向に対する模様眺めといった状況があると見られている。なお、日本側統計(財務省統計に基づきJETRO作成)では、07年の対中投資は62億ドル、0.8%増。


(4)2008年5月12日の中国四川省を震源とする地震発生後、日本政府は、約6,000万円相当の緊急援助物資の供与、及び総額10億円を上限とする緊急無償資金協力を実施、また、中国側からの要請を受け、国際緊急援助隊(救援チーム61名、医療チーム23名)を派遣した。中国が受け入れた外国の援助隊はこれが初めてであり、中国国内で高い評価と深い感謝の念をもって迎えられた。

 

 

3.人的交流
(1)2007年の日中間の人的往来は前年より更に拡大し、約512万人に達する見込み(2007年、日→中:約398万人(前年比約23万人増)、中→日:約114万人(前年比約16万人増))。


(2)日中の高校生を中心とした若者が日本と中国での直接の体験や生活、交流を通じて相互理解を深め、日中両国の長期的な関係発展の基礎となる国民相互間、特に青年間の信頼関係を醸成することを目指すため、日中21世紀交流事業を2006年度より新たに実施。2007年からは東アジア青少年大交流計画の一環として、日中21世紀交流事業についてもより一層の拡充が図られ、2008年以降の4年間に毎年4千人規模の青少年交流等を実施。


(3)2008年が日中平和友好条約締結30周年であることを記念し、両国青少年の交流を更に促進し、相手国に対する理解を増進するため、2007年12月の福田総理訪中の際、日中双方は、2008年を「日中青少年友好交流年」とし、文化・学術・環境保護・科学技術・メディアや、映画・テレビ・環境等の分野で両国の一連の青少年交流活動を進めることについて一致。年内に日中の青少年4000名余りが相手国を訪問し、ホームステイ、学校訪問等、各種行事に参加予定。

 

 

最近の動き(2008年以降、時系列)

2008年
20082月 唐家璇国務委員訪日(22024日、於:東京、大阪、奈良)
高村大臣は、訪日中の唐家璇国務委員と会談及び夕食会を行った。会談では、日中関係総論に加え、二国間関係として、中国製冷凍ギョウザ問題や東シナ海資源開発問題について話し合われた。また、地域・国際社会についても、北朝鮮情勢、気候変動、国連改革、ミャンマー情勢に至るまで幅広く話し合われた。

 

20082月 第12回日中科学技術協力委員会(228日、於:東京)
日本側より、松井靖夫外務省科学技術協力担当大使、林幸秀文部科学省文部科学審議官他関係者、中国側より、曹健林科技部副部長他関係者が出席した。会議では、今後、相互信頼の基礎の上に、「平等互恵」の原則に沿って協力を強化し、ハイレベルの協力と交流を推進することなど、数多くの事項につき一致、また、ナノ(27)、環境保護や気候変動(21)、医療(20)などを含む106のプロジェクトを両国政府間の協力プロジェクトとして確認した。協力プロジェクト採択数は前回委員会のそれ(38)に比べ大幅に増加した。

 

20084月 楊潔篪外交部長訪日(41720日、於:東京)
高村大臣は、胡錦濤国家主席の訪日に向けた準備のため来日した楊外交部長と会談及び夕食会を行った。会談では、日中関係総論として、胡主席訪日について双方より言及があり、その重要性につき見解が一致した。その他、相互理解・相互信頼、互恵協力、台湾、中国製冷凍ギョウザ問題、東シナ海資源開発問題、チベット情勢、北京五輪、遺棄化学兵器処理事業、国際貢献と、話し合いは幅広い分野に渡って行われた。

 

20084月 第1回日中メコン政策対話(425日、於:北京)
日本側より石川和秀外務省南部アジア部参事官他関係者、中国側より陳旭外交部国際司副司長他関係者が参加した。会議においては、メコン地域(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)の現状認識に関する意見交換と相互の対メコン地域政策に関する情報共有が行われた。双方は、本対話プロセスを継続していくことで一致し、第2回会合の日時・場所を外交ルートで調整してゆくことになった。

 

20085月 胡錦濤国家主席訪日(5610日、於:東京、神奈川、大阪、奈良)
日中平和友好条約締結30周年という重要な節目に行われた中国国家主席による10年ぶりの訪日。胡主席自ら「暖春の旅」と名付けた今次訪日では、「戦略的互恵関係」の具体化を通じ、両国が協力してアジアと世界のより良き未来を共に創り上げていくとの日中関係の歩むべき方向性を示した。両首脳は、両国が直面する懸案についても率直に話し合い、相互理解を深め、地域や国際社会の諸課題の解決に協力して取り組むという日中関係のあるべき姿を身を以て示し、「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」を発出した。また、胡主席は早稲田大学で講演を行い、「戦略的互恵関係」の更なる発展へ強い決意と意欲を示すとともに、未来志向の新たな日中関係の構築を両国国民に呼び掛けた。また、福原愛選手との卓球等、青少年との交流を通じて、日本国民が中国最高指導者を身近に感じられたことは、相互理解促進、国民感情改善に資するものとなった。

 

2008年6月 日中外相会談(614日、於:東京、日中韓外相会合)
高村大臣は日中韓外相会議出席のため訪日した楊潔篪中国外交部長との間で外相会談を行った。まず会談の冒頭、四川大地震につき、高村大臣より改めてお見舞いの意が述べられた。会談では、日中関係について、胡主席訪日の意義の大きさを確認するとともに、2008年を「日中関係飛躍の年」とする土台ができたとの認識で一致した他、幅広い意見交換が行われた。その他、東シナ海資源開発問題、中国製冷凍ギョウザ問題、台湾問題やチベット情勢についても意見交換が行われた。

 

20087月 日中首脳会談(79日、於:北海道、洞爺湖サミット)
福田総理は、北海道洞爺湖サミットの主要経済国会合等に出席するため訪日中の胡錦濤国家主席と会談を行った。四川大地震の復旧・復興につき、福田総理より、我が国として協力していきたい旨発言、胡主席より日本の援助等への謝意とともに、防災面での協力を強化したい旨の発言があった。また、相互交流の重要性につき双方から言及があった他、福田総理より先般合意した東シナ海における協力を、「戦略的互恵関係」の象徴的プロジェクトとして高く評価、合意を着実に進めていきたい旨述べた。中国製冷凍ギョウザ問題、北朝鮮問題についても意見交換が行われ、総理より拉致問題解決のための北朝鮮指導者への働きかけを要請したのに対し、胡主席より、日本の拉致に関する関心を理解する、中国としてこれからも適切な形で推進していく旨発言があった。最後に総理より、チベットに関し、ダライ・ラマ側との対話実施を歓迎する旨述べた。

 

20088月 福田総理大臣訪中(889日、於:北京)
胡錦濤国家主席夫妻主催歓迎レセプションへ出席したほか、温家宝総理、胡錦濤国家主席と相次いで会談。また、日本代表選手団を激励(選手村)し、北京オリンピック開会式にも出席した。訪問は、首脳間の信頼関係を更に強化し、中国の国民感情を改善するとの観点から有意義なものとなった。また、会談では「戦略的互恵関係」を更に進展させるとの方向性を改めて確認。中国製冷凍ギョウザ問題、カシュガルでの邦人暴行事件、チベット問題など懸案事項にも触れ、極めて率直に意見交換を実施。北朝鮮問題についても意見交換を実施。

 

20088月 高村外務大臣訪中(81618日、於:北京)
戴秉国国務委員、楊潔篪外交部長と会談を行ったほか、楊潔篪外交部長夫妻主催夕食会に出席。また日本オリンピック委員会(JOC)会長他主催レセプションへ参加。8月8日~9日の福田総理訪中に続き、中国側要人と忌憚のない意見交換を実施。頻繁なハイレベル往来を通じて「戦略的互恵関係」の構築を促進。中国製冷凍ギョウザ問題に関する我が国の問題意識を率直に伝達。関連部門ができるだけ早く接触を行うことで一致。北朝鮮問題についても率直に意見交換。北京五輪の成功を祈念するとともに、東京五輪招致への協力を要請。

 

20089月 日中外相会談(927日、於:ニューヨーク)
中曽根外務大臣は、楊潔篪外交部長との間で麻生内閣最初の日中外相会談を行った。会談では、「戦略的互恵関係」の推進を確認したほか、今後とも一層協力し、首脳間、外相間で頻繁に意見交換を行っていくことで一致し、日中韓首脳会議の年内開催の方向で協力していくこととなった。また、日中関係の諸問題、北朝鮮問題、国連改革等についても率直な意見交換を実施した。

 

200810月 麻生総理大臣訪中(102425日、於:北京)
胡錦濤国家主席、温家宝総理と会談を行ったほか、日中刑事共助条約の批准書交換及び日中領事協定の署名に立ち会った。また、日中平和友好条約締結30周年記念レセプションに出席した。首脳会談では、「戦略的互恵関係」の推進を確認したほか、頻繁かつタイムリーな意思疎通を行うことで、首脳間の個人的信頼関係を構築していくことで一致。また、現下の国際経済・金融情勢に対する日中両国の役割につき、共通認識を発信した。30周年記念レセプションにおいては、麻生総理より、「日中関係についての、私の所信表明」と題するスピーチを行い、日中関係について思いの丈を率直に語った。

(了)