現在、米国及びメキシコにおいて、季節性インフルエンザと異なる豚インフルエンザのヒト-ヒト感染が発生しています。このうちメキシコの症例の一部は米カリフォルニアと同一のものであることが判明しており、WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態である」としています。
当館で当局の公式発表及び報道をまとめた現在の状況等は以下のとおりです。
1.感染状況
(1)メキシコ:全土で1,004人感染、68名死亡(メキシコ政府公表)
(25日のメキシコ保健相の記者会見では、さらに増加しており、感染が疑われる死者は81人、調査中の患者は1324人とのこと。)
(2)米国(カリフォルニア州(7人)、テキサス州(2人)、カンザス州(2名))で計11名感染していますが死者はありません。また、ヒトからヒトへの感染が公式に認められています。(CDC(米国疾病対策予防センター)公表))
このほか、報道によればニューヨーク市でも複数の感染の疑い例が発生しています。
2.WHOの対応
(1) 今回の事態をうけて、WHO(本部:ジュネーブ)は25日夜(当地時間)、各国の専門家による緊急会合を開催し、フェーズの引き上げを含めて議論を行いました。その結果、現在の状況が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にある旨は宣言しましたが、現在のフェーズ3から引き上げるかどうかについては、さらに情報が必要であるとの理由で見送られています。
(2) あわせて、同事務局のチャン事務局長は記者会見で、概要以下のとおり述べています。
(イ) 今回のメキシコにおける豚インフルエンザの人への感染拡大は、極めて急速で深刻であり、引き続いての注視が必要である。
(ロ) 世界的な大流行の可能性については、今回のH1N1ウィルスがヒトに感染していることに鑑みれば、その潜在力を有しているものの、現在入手できる分析結果や、疫学・臨床上の証拠からは、世界的大流行を引き起こすかどうかについて、現時点では判断はできない。
(ハ) トラベルアドバイザリー等の勧告についても、判断するには時期尚早(too premature)である。
3.日本国内の措置
日本国内では官邸に連絡室を設け、25日午後、26日午前には関係省庁の連絡会議を開催し、情報収集や水際対策に取り組んでいます。
(1)検疫措置の強化
厚生労働省は、メキシコ及び米国から帰国する方への検疫措置を強化しており、検疫所において、発熱者をサーモグラフィーにより確認しているほか、インフルエンザ様症状がある場合には、検疫所に申し出るよう呼びかけています。
(2)渡航情報の発出
外務省は、メキシコへの渡航情報を発出しています。(4/25付当館HP参照)
4.在留邦人の皆様へのお願い
(1) 現時点では、WHOは、フェーズを引き上げるとの判断をしていません(フェーズ3のまま)。今後、引き続き情報を収集し、冷静に事態の推移及び関連の情報に注意することが必要です。在留邦人の皆様におかれは、大使館HP、メールマガジンや関連報道のチェックをお願いします。
(2)また、交通機関が発達した現在ではいつ感染が拡大するか予測がつきませんので、各自が意識を高めて状況の変化に対応できるよう以下の準備をお願いいたします。
(イ) 今後の事態の変化によっては、人混みにでる場合にはマスクの着用なども考慮する。
(ロ) 手洗い、うがいを励行する。
(ハ) 食料、水、医薬品などの備蓄品の確認。
中国政府の対応、空港の検疫等の情報については判明次第、当館HP及びメールマガジンにてお知らせします。
当館では、引き続き状況を注視して情報収集に努め、今後、関連情報を迅速に提供していく所存です。
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