本件について、主に昨日から本日にかけての最新情報を当館でまとめたのでお知らせします。感染は各地に広がっていますが、現時点ではメキシコを除いて死者はでておらず、ウィルスの毒性等の特徴ははっきりわかっていません。皆様には、今後も様々な情報に注意しつつ、冷静に対応いただくようお願いします。
1.感染状況
感染が確認された又は疑いがある旨政府当局またはWHOが発表した国は以下の通り(8カ国)です。メキシコを除き、各国とも死亡者はありません。
(1)メキシコ
感染者数 26人(うち 7人死亡)(4/27 WHO発表)
感染疑い者数 1,995人(うち149人死亡)(4/27 メキシコ政府発表)
(入院者2498人、死亡者159人との報道あり。)
(2)米国
感染者数 41人 (4/27 WHO発表)
感染者数 64人(4/27 CDC(米国疾病管理予防センター)発表)
(カリフォルニア州で10例、テキサス州で6例、ニューヨーク市で45例、カンザス州で2例、オハイオ州で1例、計64例)
(3)カナダ
感染者数 6人(4/27 WHO発表)(29日の報道では13人)
(4)スペイン
感染者数 2人 (4/28 スペイン保健・社会政策省)
感染疑い患者 32人(4/28 スペイン保健・社会政策省)
(5)英国
感染者数 2人(4/27 英国保健省)
感染疑い者数 25人(4/27 英国保健省)
(6)ニュージーランド
感染者 3人(4/28 NZ保健省)(この他複数の疑い例あり)
(7)イスラエル
感染者 1人(4/28 保健省)
(8)コスタリカ
感染者 2人(4/28 厚生省)
※その他、4月28日現在、感染疑いがある国・地域は以下のとおり(17ヶ国・地域)です。
タイ、韓国、香港、オーストラリア、アイルランド、イタリア、スイス、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、アルゼンチン、グアテマラ、コロンビア、ブラジル、ペルー
※中国国内では感染者、感染疑い患者は報告されていません。一部報道で、陝西省西安市の学校でインフルエンザ様症状の患者が多く発生しているとありましたが、その後の検査で原因はB型インフルエンザウィルスであったことが判明しています(豚インフルエンザではありません)。
2.WHOの対応
大使館情報NO.3でお知らせしたとおり、フェーズ4に変更されています。
3.日本国内の措置
(1) 検疫体制の強化
(イ)今般、メキシコや米国等で感染が確認された豚インフルエンザ(H1N1亜型)は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する法律」第6条7号に規定する新型インフルエンザ等感染症に位置づけられています。発生国から入国した感染者に対する隔離措置、感染したおそれのある者に対する停留措置が実施されます。
(ロ)28日よりメキシコ及び米国から到着する航空便に対して機内検疫を実施しています。
(ハ)28日より海外から日本に到着した全ての乗客に対して、健康状態、氏名、連絡先等を質問票へ記入するよう義務づけられました。
(2)外務省では26日午後より「豚インフルエンザ電話相談窓口」(24時間対応)を設置しています。【電話番号:03-5501-8000内線4625,4627,4629】
(3)内閣府食品安全委員会委員長は、豚肉の安全性について、以下のような見解を示しています。
【見解】
豚肉・豚肉加工品を食べることにより、豚インフルエンザがヒトに感染する可能性は、以下の理由からないものと考えています。
●豚肉は、従来から食中毒防止の観点から十分加熱するよう言われていること。
●万一、ウイルスが付着していたとしても、インフルエンザ・ウイルスは熱に弱く、加熱調理で容易に死滅すること(米国疾病管理予防センターによれば、中心温度71℃での調理により、豚インフルエンザ・ウイルスは死滅する由。)。
●万一、ウイルスが付着していたとしても、インフルエンザ・ウイルスは酸に弱く、胃酸で不活性化される可能性が高いこと。
4.中国政府の措置
(1)渡航情報
28日、中国外交部は自国民に対し、メキシコへの渡航を見合わせるよう渡航情報を発出しています。当館仮訳は以下のとおりです。
「中国国民に対しメキシコへの渡航を当面見合わせることをお勧めします」
(2009年4月28日)
現在のメキシコにおける豚インフルエンザの深刻な疫病状況に鑑み、外交部領事司は中国国民に対しメキシコへの渡航を当面見合わせることをお勧めします。
(2)北京市衛生局の対応
(イ) 北京市衛生局は、地壇病院、佑安病院、協和病院(主に外国患者が対象)の3つの病院を豚インフルエンザ患者の指定病院に指定しました。
(ロ) 北京市衛生局は、市内の医療機関に対して、豚インフルエンザの疑い患者が見つかった場合には、2時間以内に報告するよう求めています。また、感染が確認された患者は、ただちに指定病院に搬送・隔離されて治療が行われます。あわせて密接接触者は、自宅で7日間の医学観察下におかれます。
(3) 北京出入境検験検疫局は、現在主に以下の措置を取っていると発表しています。
(イ) 流行地域からの帰国者に対する重点的な検疫検査の実施。
(ロ) 具体的には、アメリカ、カナダ、スペイン、イギリス、フランス、ニュージーランドなどの国と地域から入国した観光客に対する体温の監視測定と医学巡回検査の強化。発熱或いは豚インフルエンザ症状のある人を発見或いは申告を受けた場合、旅行暦、病例接触暦、家畜との接触暦などを聴取し、臨床症状などの検査を行う。
(ハ) アメリカなどの国の主要な航空便すべてについて搭乗検疫を実施。主要な航空便の客室と荷物室、ゲートまでの通路などの主要区域について、消毒処理を行う。
(ニ) 流行地域からきた観光客の荷物の検査強化。
(ホ) 入国禁止物、ゴミ及び廃棄物についての検疫処理を強化。廃棄物、汚水などについて、検疫を行う者の監督のもとに無害化処理を行う。
(ヘ) 情報管理を強化する。日報報告制度を実施し、人感染豚インフルエンザ状況に関する最新情報の収集と更新を行う。
(ト) 広報に力を入れ、出国者、特に流行地域に渡航する観光客に対し、チラシ、テレビなどの方法を通じ、感染防止の宣伝強化。
5.在留邦人の皆様へのお願い
(1) 引き続き情報を収集し、冷静に事態の推移及び関連の情報に注意することが必要です。在留邦人の皆様におかれては、大使館HP、メールマガジンや関連報道のチェックをお願いします。
(2) また、交通機関が発達した現在ではいつ感染が拡大するか予測がつきませんので、各自が意識を高めて状況の変化に対応できるよう以下の準備をお願いいたします。
(イ) 今後の事態の変化によっては、人混みにでる場合にはマスクの着用なども考慮する。
(ロ) 手洗い、うがいを励行する。
(ハ) 食料、水、医薬品などの備蓄品の確認。
当館では、引き続き状況を注視して情報収集に努め、今後、関連情報を迅速に提供していく所存です。
(参考ホームページ)
○外務省安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/
○厚生労働省ホームページ(新型インフルエンザ対策関連情報)
http://www.anzen.mofa.go.jp/
○農林水産省ホームページ(新型インフルエンザ関連情報)
http://www.moff.go.jp/j/zyukyu/anpo/buta.html
○首相官邸「海外における豚インフルエンザの発生に関する政府の対応状況」
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/index.html
○世界保健機関(WHO)ホームページ(豚インフルエンザ関連)
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/(英語)
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