鳥インフルエンザ関連情報(第十二報)
(中国における感染状況について)
2013年4月18日
在中国日本国大使館
1.4月17日17時点の中国国家衛生・計画生育委員会の発表を踏まえた、中国における鳥インフルエンザA(H7N9)の感染確定症例数は、北京市、河南省、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省の計83名(1名は臨床症状なし)、死亡者数は17名となっています。
2.中国国家衛生・計画生育委員会は、4月17日17時時点で、中国で82例の鳥インフルエンザA(H7N9)感染確定症例が報告され、そのうち、5名が既に回復・退院、17名が死亡、その他の60名は現在各指定病院で治療を行っていることを発表しました。発表の主要点は以下のとおりです。(当館注:北京市の感染者2名のうち、15日付の当館の「鳥インフルエンザ関連情報(第九報)」でご連絡しました北京市での4歳男児の感染のケースについては、ウイルス感染は確認されたものの、臨床症状がないとして、中国当局発表の感染者合計数には含まれておりません)
(1)症例の分布は、北京市(1例)、河南省(2例)、上海市(31例、死亡11例)、江蘇省(20例、死亡3例)、浙江省(25例、死亡2例)、安徽省(3例、死亡1例)の6省市。
(2)現在、症例は依然として散発状態にあり、現時点においてヒト-ヒト感染の証拠は発見されていない。
3.北京市衛生局が、17日に、北京市の第一例の感染者及び1名の感染者(キャリア)は回復・退院し、新たな感染症例は発見されていないことを発表しました。発表の主要点は以下のとおりです。
(1)北京市の感染状況
4月1日以来、全市で検査した鳥インフルとの関係でハイリスクな人々の数は延べ727,552人。その内24名を排出し、その中の22名につき同ウイルス感染を排除、1名を感染と確定診断し、また、一名の感染者(キャリア)を発見した。2013年4月17日15時までで、感染例は一例、患者は既に退院。2名の濃厚接触者は既に医学観察を解かれた。
(2)北京市第一例患者の状況
北京市の第一例の鳥インフルエンザA(H7N9)感染患者は完全に回復し、連続3回のテストで同ウイルス陰性の反応であった。16日午後、市衛生局は呼吸器科、感染科、重症医学科、レントゲン科等の5名の臨床専門家を組織して診断を行った。専門家グループは、地壇病院の説明を受け、患者の検査を行い、病状につき総合的な分析をして意見を出した。専門家グループの意見にもとづき、患者は衛生計画生育委が制定した退院基準に完全に合致しており、17日に退院した。
(3)一名の感染者(キャリア)の状況
主体的な検査により発見された1名の感染者(キャリア)については、体温は正常、インフルエンザ症状はなく、連続2回のテストで同ウイルス反応は陰性であったことから、17日午後、既に退院した。
(4)防御コントロールの状況
(ア)4月16日に、市衛生局が「北京市衛生局の同ウイルス防御コントロール衛生監督工作強化に関する通知」を発出、監督工作を強化し、医療衛生機構の措置強化、毎日の検査報告制度の構築、飲食業への監督強化、未検疫の家禽類製品の使用禁止等を行っている。
(イ)基層レベルの同ウイルス防御コントロール工作を強化。
(ウ)救急・輸送工作を更に整備。「北京市救急センターの同ウイルスヒト感染の疑似例、確定病例の輸送プロセス(草案)」及び「北京市救急センター発熱病人の輸送プロセス(草案)」を下達。
(エ)市衛生局が対策費として600万元を支出。市疾病予防コントロールセンターに300万元、地壇病院に200万元、佑安病院に100万元を割り当て。
4.中国CDCが17日に実施したメディアインタビューにおける馮子健・衛生救急中心主任の発言によれば、16日に上海市当局が遡及的に感染が確認されたとする5例のうち、1例は、3月4日に死亡した上海市の87歳の男性(当館注:右男性の感染については、4月1日付の上海総領事館の「鳥インフルエンザ関連情報(第1報)」もご参照願います)の息子(長男:肺炎発症後に回復)であることが確認されました。一方、同主任は、87歳の男性のもう一人の息子(次男:肺炎により死亡)については、死亡により、感染確認に必要なサンプルを抽出できていないとしています。
※ 上海総領事館のホームページ(http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/index.html)
5.また、中国農業部は、17日、これまでに、各地の家禽屠殺場、家禽養殖場、ブタ屠殺場、野生禽類生息地などから集めた84444サンプルのうち、47801サンプルについて検査を終了し、39サンプルについて鳥インフルエンザA(H7N9)の陽性を確認したことを明らかにしました。同部の発表によれば、39サンプルには、南京市秦淮区の野生の鳩のサンプルの他、浙江省湖州市の浙北農副産品卸売市場の鶏のサンプル、同市呉興区の道場郷農貿市場の鶏のサンプルなど、上海、安徽、浙江、江蘇の生きた禽類を扱う9ヶ所の市場のサンプルが含まれている一方、現時点では、家禽類やブタの養殖場ではウイルスは検出されていないとされています。
6.16日、WHOは、引き続き本件感染症に関するヒト-ヒト感染例は確認されていないこと,及び本件感染症に関し、渡航や貿易を制限することを推奨しないとしています。中国当局ならびにWHOは、今後も引き続き,感染源の特定や感染発生状況等につき、疫学的調査を継続していくとしています。
7.かかる状況を受けて、中国滞在中の方におかれては、引き続き、以下の諸点にご注意願います。
(1)発熱、咳などの呼吸器感染の症状が発症、特に高熱の発症や呼吸困難の症状が見られた場合は速やかに医師の診断を受けるようにお願い致します。
(2)生きた鳥を扱う市場や家禽飼育場への立入を避け、不用意に鳥・家畜に近寄ったり触れたりせず、死んだ鳥や放し飼いの家禽や鳥の排泄物に汚染された物との接触を避けてください。
また、手洗い、うがい等につとめ、衛生管理に十分注意してください。十分な栄養、睡眠をとり、平素からの体調管理に気をつけてください。
(3)外出する場合には、人混みはできるだけ避け、人混みではマスクをする等の対策を心がけてください。
(4)その他、感染地域滞在の注意事項については、以下の参考ホームページを御参照ください。
8.当館では新たな情報が得られ次第、当館ホームページ等でお知らせします。
(参考ホームページ等)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
(携帯版) http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp
○海外安全ホームページ:
「海外渡航者のための新型インフルエンザに関するQ&A」
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/influ_qa.html
「海外渡航者のための鳥インフルエンザに関するQ&A」
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/sars_qa.html
○鳥インフルエンザに関する情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
○海外渡航者のための感染症情報(厚生労働省検疫所)
http://www.forth.go.jp
○インフルエンザA(H7N9) (国立感染症研究所感染症情報センター)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/3395-n7n9top.html
○「鳥インフルエンザA(H7N9)に関する質問と回答」(原文:OIE)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/2273-idsc/3440-oie-qa.html
○「インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒト感染に対するWHOのリスク評価」(原文:WHO)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/2273-idsc/3439-riskassessment-h7n9.html
○鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
○Human infection with influenza A(H7N9) virus in China - update (世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/csr/don/2013_04_15/en/index.html
○国際獣疫事務局(OIE)
http://www.oie.int/eng/en_index.htm
○中国疾病予防控制中心「人感染H7N9禽流感」※中国語サイト
http://www.chinacdc.cn/jkzt/crb/rgrgzbxqlg_5295/
|