中国衛生部は、各地の感染症の流行状況を次の通り公表しています。中国にお住まいの方、中国国内を移動される方はご注意願います。季節が異なれば流行する感染症も異なる場合が多いので、例えば5月に旅行される場合には、2004年5月前後の状況をご覧下さい。
手洗い、うがいなど通常の感染症予防対策を日頃から励行されるよう心がけて下さい。
注意:狂犬病、流行性出血熱、日本脳炎、高病原性鳥インフルエンザに関しては、本大使館ホームページにおける別のページもご参照下さい。
出典:中国衛生部疾病予防控制センター編「疾病監測」の抄訳
2004年1月
A型肝炎:
雲南:玉渓市の小学校で流行。822例。死亡者なし。2-12歳。
風疹:
雲南:大理市の小学校で流行。7例、死亡者なし。主に2、3年生。
麻疹:
重慶:荼江県で流行。45例。死亡者なし。1-10歳。
インフルエンザ:
貴州:877例。死亡者なし。春節前に出稼ぎの人が多く帰郷し、病原を持ち込んだ可能性がある。春節中に集会及び親戚間の挨拶等で人との接触が多かったことが流行を加速。
2004年2月
チフス、パラチフス:
浙江:チフス461例、パラチフス729例。死亡者なし。原因は、①晴天が続き生活用水の確保難、②不衛生な生活環境等にある。火を通さずに貝類を食べる習慣や居住環境の不衛生により、伝播。
狂犬病:
浙江:6例。死亡者5例。6例のうち犬に噛まれた者4例、イタチ・猫に噛まれた者2例。杭州市では2000年より毎年イタチの咬傷による狂犬病報告。上記6例は、咬まれた後、専門医による傷口の処置を受けず、ワクチンを接種していない。
麻疹:
福建:ショウ州市の小学校で13例。厦門市の幼稚園でも3例。
赤痢:
浙江:706例。原因は、乾燥、水不足、電気不足により、清潔な環境を保てなかったこと。発病後も各自で薬を購入し、徹底治療できなかった為、周囲に伝染。
2004年3月
ウィルス性肝炎:
遼寧:3,358例。昨年同月比20%増。
麻疹:
福建:ショウ州市の小学校で流行。24例。原因は、①症例発生時に適切な隔離治療を行 わなかった、②両親・学校に予防知識がなく、発病後も診察を受けなかった、関係部門へ報告しなかった、③流動人口が予防接種を受けていなかった、④村医のサーベイランス能力が低かった等。
チフス、パラチフス:
遼寧:32例。
水痘:
福建:8例。全発病者は水痘のワクチン未接種。家庭内隔離を行わなかったことから増加。
2004年4月
ブルセラ症:
内モンゴル:273例。前月比106%増。
猩紅熱:
内モンゴル:初発症者は学生で、病院では、麻疹と診断。その後5例の学生が類似症状により入院。市疾病予防センターは、疫学調査に基づき、猩紅熱の流行と診断。
麻疹:
広東:1,228例。前月比62%増。流動人口の多い学校で発生。予防接種証明書を入学入園時に提出させる制度を徹底し、予防接種を受けていない者に対する確実な接種を各地に要請。
福建:ショウ州市の小学校で流行。12例。応急予防措置により沈静化。しかし、小学校の周辺郷鎮には流動人口が多く、全員への予防接種ができず、伝播。
2004年5月
日本脳炎:
海南:9例。本年累計は13例。死亡者なし。3-12歳。原因は、①「ウィルス性脳炎」と診断された児童をすべて擬似B型日本脳炎として報告する作業が強化され、且つ採血後、B型血清診断を実施したこと、②5-6月はB型日本脳炎の多発季節。
赤痢:
重慶:6例、うち1例が死亡。
麻疹:
重慶:3例。実験室検査により確定診断。死者なし。生後4ヵ月-10歳。1歳以下が最多。
内モンゴル:63例。2歳-41歳。10-14歳に集中し、32例。原因は、①臨床所見では典型症状が見られず、発病期間が短く、予後良好の為、診察を受けずに在宅観察とされたこと、②流動児童は予防接種を受けていない者が多いこと。
流行性耳下腺炎:
重慶:本年累計15例。死亡者なし。6-11歳。接触者に対しワクチン投与。
水痘:
福建:福州市の小学校で新学期から6月までに111例。
2004年6月
赤痢:
重慶:奈江県で6例、うち1例が死亡。この6例は隣接する3家族に集中。県疾病予防センターは患者に対し、隔離治療等を実施し、沈静化。
江蘇:951例。死亡者なし。累計報告は7,750例となり、死亡者なし。
寧夏:1,462例。4-6歳が増え、前月比136%増。西夏区の幼稚園では食物汚染が主要な原因。
天津:2,328例。散在的。本年累計4,811例。
浙江:3,545例。うち、細菌性赤痢が3,537例で、アメーバ赤痢が8例。
北京:8,319例。朝陽区、海淀区、豊台区からの報告が多かった。
麻疹:
重慶:3例。死亡者なし。
海南:27例。死亡者なし。
寧夏:308例。0-6歳。
内モンゴル:72例。死亡者なし。
浙江:692例。前月比7%増。
チフス、パラチフス:
山東:75例。前月比2倍。
江蘇:1-6月累計476例。うちチフス430例、パラチフス46例。チフスによる死亡者1例。
マラリア:
海南:865例。死亡者なし。7月は879例。本年累計6,931例で増加傾向。散発。
流行性耳下腺炎:
重慶:南岸区の小学校で発生。本年累計15例、死亡者なし。6-11歳で、9歳が最多。
浙江:2,651例。
北京:559例。朝陽、豊台、海淀に集中。主に入学前児童と小学生。
2004年7月
赤痢:
安徽:1,732例。前月比61%増。現在も衰える傾向なし。
海南:879例。死亡者はなし。本年累計は6,931例で、いずれも散発。
ブルセラ症:
内モンゴル:691例。
新疆:65例。前月比54%減。
吉林:63例。
炭疽:
内モンゴル:23例。主に皮膚炭疽。病死家畜の屠殺時に自己防護策を講じなかったことが原因。
新疆:42例。10-60歳(31例)が最多。農民の発病も多い。
流行性出血熱:
山東:281例。減少傾向だが、依然高水準にあり、引き続き注意が必要。
天津:8例。本年累計は214例、死亡者は2例。
河北:163例。死亡者は1例。20-44歳に集中。
吉林:130例。
遼寧:210例。死亡者は1例。
日本脳炎:
山東:89例。前月比6倍増。死亡者は32例。前月比3例増。散発。
赤痢:
天津:3,199例。散発。本年累計8,010例、昨年同期比62%増。
江蘇:本年累計は257。30-59歳に集中し、72%。
河北:7,075例。死亡者なし。8月は、6,264例、死亡者1例。
寧夏:2,270例。各年齢層から報告。0-14歳1,065例。
陜西:6,857例。伝染病発病報告数の1位。8月は8,234例。死亡者は2例。
麻疹:
新疆:323例。0-25歳の発病は314例で、1歳(46例)、3歳(30例)、10歳(29例)。
陜西:304例。散発。
福建:160例。死亡者なし。本年累計は昨年同月比75%増。
2004年8月
マラリア:
安徽:2,036例。前月比18%増。昨年同月比29%増。1月から9月まで上昇。早期予防が必要。
海南:1,289例。散発。前月比46%増、昨年同月比57%増。死亡者なし。本年累計5,220例超。昨年同月比43%増。
狂犬病:
広東:本年累計121例。昨年と同じ。5-8月に68例で、1-4月の28%増。発生範囲が広がり、予防措置が必要。
江蘇:9月の沈静化まで、本年累計141例。死亡者136例。農民103例と学生18例。
炭疽:
甘粛:24例(すべて皮膚炭疽)。
流行性出血熱:
山東:162例。前月比19%減。昨年同月比14%増。男121例、女41例。25-69歳に集中。職業は主に農民で75%。9月は減少したが、引き続き注意が必要。
遼寧:223例。前月比6%増。昨年同月比93%増。死亡者は2例。
2004年9月
炭疽:
新疆:47例。前月比11%増。30-40歳、農民(34例)の発病が多い。
吉林:1例。37歳、調理師。8月12日発病、17日に診断を受け、21日に皮膚炭疽と診断。
デング熱:
広東:25例。本土における感染は22例、輸入性症例3例。タイからの流入病原体が原因。
江西:1例。23歳。6月にインドネシアを訪問しており、輸入性デング熱。
福建:90例。死亡者なし。発病数は前月比17倍増。
遼寧:1件。47歳。9月、シンガポールを訪問し、10月8日帰国後、身体異常、頭痛、発熱、関節の痛みなどを訴えた。シンガポール滞在中、蚊に刺されていたことが判明。デング熱と診断。
流行性出血熱:
内モンゴル:35例。前月比483%増。
山東:360例。男性253例、女性107例。30-59歳が全体の71%。農民が全体の85%。
遼寧:386例。前月比73%増。毎年10月から出血熱の多発季。
河北:94例。死亡報告は2例。
陜西:122例。昨年同月比30%減。
麻疹:
四川:156例。入学前児童の発病が83%。
内モンゴル:16例。前月比45%増。90%が6-14歳。予防接種未接種者1人を除き、満7歳までに強化ワクチンの未接種が原因。周囲の小学生に対して強化ワクチン接種を実施。
2004年10月
A型肝炎:
広西:297例。死亡例なし。前月比58%増。柳川市の中学校で174例。原因は水源汚染。
細菌性赤痢:
広西:1,984例。死亡例なし。興賓県では中学校で408例。
重慶: 42例。隔離等により沈静化。
インフルエンザ:
四川:101例。急激かつ集中的に農村の小中学校で発生。前月比483%増。
重慶:91例。小中学校で発生。隔離等により沈静化。
流行性耳下腺炎:
四川:7地区から10例。農村の小中学校で発生。隔離治療、通風、応急免疫接種等により沈静化。
麻疹:
江西:298例。0-8歳で88%。発症者の70%が未接種又は接種不詳。
内モンゴル:64例。原因は7歳未満に対する予防接種漏れの者に対する追加接種の未実施。
重慶:56例。前月比45%増。90%が6-14歳。満7歳までを対象とする未接種者に対する強化ワクチンの未実施が原因。隔離措置等により沈静化。
2004年11月
流行性出血熱:
河北:169例。死亡例なし。発症率は0.25/10万、前月比42%増。昨年同月比92%増。唐山市53例、秦皇島市51例、石家荘市25例。職業は主に農民で、15-44歳に集中。男女比率は2対1。
山東:309例。前月比41%減。昨年同月比31%減。男性226例、女性83例。15―64歳に集中、全体数の93%。職業は主に農民。
浙江:117例。紹興市30例、寧波市26例、台州市25例の3市の症例数は全体数の69%。12月も多発期。
流行性耳下腺炎:
河北:544例。死亡例なし。前月比42%増。発症率は1.13/10万。唐山236例、承徳179例、保定114例。14歳以下に集中。
浙江:2348例。前月比52%増。温州市600例、台州市291例、寧波市255例、麗水市237例、杭州市232例の5市で全体の69%。10月以降増加。
猩紅熱:
山東:81例。昨年同月比1.7倍増。14歳以下に集中、全体数の98%。5月に発症以来、昨年同時期より上昇。
陜西:108例。死亡例なし。全体感染症発症の第7位。昨年同月比300%増。児童・学生の発症が最も多く計60例。40歳以上の発症なし。
麻疹:
安徽:452例。前月比750%増。英山市と池州市では局部流行が発生。
河北:246例。前月比940%増。昨年同月比61%増。死亡例なし。発症率は0.36/10万。14歳以下に集中。
山東:42例。前月比1.33倍増。昨年同月比31%増。男性29例、女性13例。14歳以下に集中。
陜西:439例。死亡例なし。昨年同月比314%増。うち学生117例、保育所・幼稚園園児79例、全体数の88%。
浙江:975例。前月比46%増。温州市557例、合州市129例、金華市85例、湖州54例、麗水市46例、寧波43例の6市で全体数の94%。
2004年12月
流行性髄膜炎:
遼寧:12例。前月比200%増。昨年同月比140%増。瀋陽市5例、大連市3例。死亡例は3例。
チフス・パラチフス:
広西:630例。死亡例なし。前月比74%増。桂林市の中学校に集中。発生原因は中学校の給水システム汚染。
結核:
山東:2004年の報告症例は3万例、前年比31%増。うち学生が10%、前年比72%増。学生のうち、伝染性の強い塗抹陽性患者は1300例。在校生の結核病発病情勢は年々ひどくなっている。
麻疹:
内モンゴル:268例。前月比300%増。2005年1月の報告症例数は320例、前月比19%増。
チベット:2004年は7地区で報告があった。麻疹の発症率は計画予防接種業務と密接に関わり、上位2地区の麻疹接種率は共に85%以下。2002年に地区全体の強化免疫活動を行った際、昌都地区では流行性耳下腺炎ワクチンを麻疹ワクチンに誤って出荷し、当該地区の麻疹強化予防接種活動が出来なかった。
山西:1月は336例(昨年4例)。前月比26%増。太原市69例、呂粱市47例、大同市28例。10歳以下の児童に集中し、全体数の82%。
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