1.現況
○感染者数合計
中国におけるHIV/AIDS感染者は、急速に増加中です。2006年12月1日の世界AIDSデーに中国政府は10月末迄のデータを公表しました。
感染者として中国政府に報告のあった数:18.4万人(うち発病者は4.1万人、死者1.2万人)
感染原因:麻薬37%、輸採血5%、性交渉28%
しかし、HIV/AIDS感染者は、実際には約65万人存在すると推計されており(香港・マカオは除く。因みに、日本は約1.2万人と推計)、報告者数18.4万人(前年比約5万人増)とは開きがあります。つまり、感染者の多くは、中国政府に報告されていません。
○感染者の新規増加
04年のHIV/AIDS新規発病者は3,054人(死者741人)、05年のHIV/AIDS新規発病者数は5621人(死者は1316人)でした。しかし、これらは実報告数であり、実際には更に多いと推計されています。
2.北京市及び天津市の現況
北京市政府によると、市内のHIV/AIDS感染者数は約3500人、北京市以外籍の住民が80%を占めています。北京市は中国の中でも感染者数が多いと言えます。天津市政府によると、市内感染者数は約300人です。予防策については、下記「エイズ予防情報ネット」等をご参照下さい。
3.中国政府の対策
国連エイズ計画は、HIV/AIDS感染が中国で広がっており、効果的対策が無い場合は2010年迄に感染者数が1000万人を超えると警告しています。そこで、中国政府は、エイズ予防治療計画(2006-10)に基づき、2010年の感染者を150万人以内に抑えることを目標として、売買血の取締まり/無償献血体制の構築、検査体制の構築、治療薬の供給、孤児や母子感染児童の福祉等について対応しています。
また本年3月から「エイズ予防治療条例」が施行されました。感染者への差別の禁止、学生や出稼ぎ労働者、出入国者に対するエイズ予防の宣伝、公共施設におけるコンドームの配備、母子感染予防、貧困エイズ発病者への治療薬の無料提供等が規定されています。
4.HIV/AIDS予防に関する日本の対中ODA
2006年から、中国の西部にある甘粛省蘭州への日本人専門家派遣等を通じて、HIV/AIDSに関する技術協力を行っています。
甘粛省は、確認された感染者数は多くないですが、西部の貧困省なので、予防・治療のための専門的研修を受けた医療従事者、カウンセラーが質・量ともに不足し、性感染症患者等ハイリスク集団への対応が十分ではありません。
日本人専門家の派遣、現地職員の人材育成を行うとともに、簡易検査機材等を供与しています(JICAにより3年間実施)。
(関係HP)
財団法人エイズ予防財団エイズ予防情報ネット(http://api-net.jfap.or.jp/)
国連エイズ計画(http://www.unaids.org/en/Geographical+Area/by+country/china.asp)
(専門のカウンセラーによる電話相談)
財団法人エイズ予防財団 03-3592-1183
年末年始・祝祭日を除き、月~金10:00~13:00、14:00~17:00(日本時間)
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