※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
【危険情報】(平成20年8月6日発出)
●チベット自治区
:「渡航の延期をお勧めします。」(継続)
●青海省、甘粛省、四川省、アフガニスタンとの国境付近
:「渡航の是非を検討してください。」(継続)
●新疆ウイグル自治区
:「十分注意してください。」(新規)
☆詳細については、下記の内容をよくお読みください。
1.概況
(1)中国では、8月8日からの北京オリンピック開催を控え、テロとの関連は不明ですが、上海市、雲南省昆明市、新疆ウイグル自治区カシュガルにおいて爆破事件が発生して、多くの死傷者が出ており、中国当局は、オリンピック開催期間中の警備対策を強化しています。
(2)5月12日、四川省を震源とするマグニチュード8.0の大規模な地震が発生し、この地震により、震災を被った地域では、電気、ガス、水道又は食料の供給が止まったり、インフラ等の復旧の遅れにより衛生状態が悪化しており、今後も厳しい状況が続くものと予想されます。
(3)チベット自治区では、3月10日以降、僧侶などによるデモが相次ぎ、ラサ市内にある寺院周辺では3月14日、商店が放火されるなどの暴動が発生し、暴徒化した一部市民が商店・銀行等に対する投石、車両への放火、店舗の破壊等の行為に出たため、これに対し治安当局が催涙弾等により応酬し、死傷者が出る騒動が発生しました。
(4)チベット自治区のラサ市で起きた暴動は、周辺の青海、四川、甘粛の各省にあるチベット族自治州にも波及して、デモや暴動が発生し、死傷者が出たほか、政府機関の建物や店舗が放火されるなどの被害が出たとの情報があります。
(5)ラサ市内の抗議行動は沈静化した模様ですが、中国当局は治安部隊を派遣して治安の維持と暴動にかかわった当事者の摘発に当たっているほか、周辺各省のチベット族自治州でも厳重な警戒態勢を敷いていると報じられています。
(6)アフガニスタンとの国境付近は、アフガニスタンの不安定な国内情勢の影響を受け、治安が不安定です。
(7)新疆ウイグル自治区
新疆ウイグル自治区では、8月4日に同自治区西部のカシュガルにおいて、車両が警察関係者の列に突っ込み、乗っていた者が爆発物を爆発させるなどし、警察関係者32人が死傷する事件が発生しています。また、現地で事件を取材していた日本人の記者2人が、武装警察に一時的に身柄を拘束され、暴行を受けたという事案も発生しています。
2.地域情勢
(1)チベット自治区
:「渡航の延期をお勧めします。」
チベット自治区では、3月10日以降僧侶などによるデモが相次ぎ、14日昼以降、一部の者が現地公安当局の建物に対し投石したり、公安関係者を棍棒で殴打するなど暴徒化した模様です。また、大昭寺付近の広場では、数百人のデモ隊が暴徒化して火を放ち、火災が発生したり、商店街を襲撃して略奪行為が行われた模様です。
14日午後には、暴徒化した一部の市民が商店・銀行に対する投石、車両への放火、店舗の破壊等の行為に出たほか、これに対し治安当局が催涙弾等を使って応酬し、結果的に多数の死傷者が出ました。同日夜には、市街中心部のあちこちで火の手が上がり、車両が放火されたり、店舗が破壊され、道路を歩けない状況になりました。
その後、ラサ市内の状況はおおむね沈静化している模様ですが、軽戦車や装甲兵員輸送車、トラックが市内中心部をパトロールしており、旧市街では治安当局が警戒に当たっているほか、暴動に関与したとされるチベット族住民の摘発を行っている模様です。
つきましては、同自治区への渡航に関しては、目的のいかんを問わず延期することをお勧めします。
(2)青海省、甘粛省、四川省、アフガニスタンとの国境付近
:「渡航の是非を検討してください。」
(イ)青海省
チベット自治区ラサ市では、3月14日に僧侶を含む市民と当局との間で衝突が発生し、死傷者が出る等情勢が悪化しましたが、このような情勢の悪化は、チベット自治区周辺の青海省にも波及し、以下のような事件が発生したとの報道があります。
・3月23日、青海省黄南省チベット族自治州で、チベット族の住民約800人によるデモが発生したが、治安部隊により鎮圧された。
・4月17日、青海省黄南チベット族自治州同仁県で抗議デモが行われ、デモに参加した僧侶や住民ら100人以上が治安当局に拘束された。
(ロ)甘粛省
上記(イ)同様、チベット自治区の情勢の悪化は、周辺の甘粛省にも波及し、以下のような事件が発生したとの報道があります。
・3月15日に甘粛省甘南チベット族自治州において「チベット独立」のスローガンを叫ぶ暴徒が政府庁舎を襲撃したほか、断続的にデモや暴動が発生し、政府機関の建物や店舗等が放火されるなどの被害が出た(3月23日付けの新華社は、同自治州での暴動に関し、警察官など94人が負傷した旨報道。)。
(ハ)四川省
5月12日、四川省を震源とするマグニチュード8.0の大規模な地震が発生しました。この地震により、震災を被った地域では、電気、ガス、水道又は食料の供給が止まったり、インフラ等の復旧の遅れにより衛生状態が悪化しています。また、同地域は現在も余震が断続的に発生しており、今後の天候次第では大規模な土石流が発生したり、ダムが決壊するおそれがあり、今後も安全の確保のため慎重な対応が必要とされています。
(ニ)アフガニスタンとの国境付近
アフガニスタン国内の不安定な治安情勢が同国と隣接する地域に影響を及ぼす可能性があります(アフガニスタンについては、別途「危険情報」が発出されています。)。
つきましては、以上の地域へ渡航・滞在を予定されている方は、渡航の是非を含めた検討を真剣に行っていただき、渡航される場合には、十分な安全措置を講じることをお勧めします。
(3)新疆ウイグル自治区
:「十分注意してください。」
新疆ウイグル自治区では、8月4日にカシュガルにおいて武装警察襲撃事件が発生し、32人が死傷しました。中国政府の発表によれば、中国におけるテロ事件は主として同自治区内で発生しています。同自治区では、ウイグル族を主体とする少数民族の一部がいくつかの地下組織を結成し、同自治区全域を領土とするイスラム国家「東トルキスタン国」の建設を目的に民族独立運動を行っていると言われています。また中国政府は、東トルキスタン・イスラム運動、東トルキスタン解放組織、世界ウイグル青年代表大会、東トルキスタン情報センターの4つの組織をテロ組織として認定しています。
つきましては、同自治区に渡航・滞在を予定されている方は、上記情勢を踏まえるとともに、治安の悪化が懸念されることから、テロ事件等の不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
3.滞在に当たっての注意事項
(1)デモや騒擾が発生している場合、(イ)興味本位でデモや署名・抗議活動の開催地、又はその可能性のありそうな場所には近づかない、(ロ)身辺に危険を感じた場合には、速やかに安全な場所に避難する、(ハ)万一、トラブルに巻き込まれた場合には、安全な場所まで避難してから支援を求める等を心掛けてください。
また、チベット自治区及びその周辺地域は大使館のある北京から遠距離であることに加え、今回のラサ市での暴動をめぐり、邦人保護を目的とした日本国大使館員のラサ入りを中国政府が許可しなかった経緯もあり( 3月末に日本大使館を含むいくつかの大使館の館員がラサ市を視察することができましたが、現時点においても、日本国大使館の館員が自由にチベット自治区及び一部の周辺地域に赴くことができる状況にはありません。)、事件・事故が発生した場合の迅速な対応が困難な状況にあることにも御留意ください。
(2)四川省においては、時折余震が起きている地域もありますので、十分注意してください。
(問い合わせ先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐に関する問い合わせを除く)
住所:千代田区霞が関2-2-1
電話:03-3580-3311(内線)5139
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)
住所:千代田区霞が関2-2-1
電話:03-3580-3311(内線)3678
○外務省海外安全相談センター(国別安全情報等)
住所:千代田区霞が関2-2-1
電話:03-3580-3311(内線)2902
○外務省海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://www.anzen.mofa.go.jp/i/ (携帯版)
○海外における誘拐対策Q&A:http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html
○在中華人民共和国日本国大使館
・北京市建国門外日壇路7号(本館)
電 話:(86-10)6532-2361
FAX:(86-10)6532-4625
ホームページ:http://www.cn.emb-japan.go.jp/jp/index_j.tml
・北京市東三環北路2号南銀大厦2階(領事部)
電 話:(86-10)6410-6970
FAX:(86-10)6410-6975
○在広州日本国総領事館
広州市環市東路368号花園大厦
電 話:(86-20)8334-3009
FAX:(86-20)8333-8972
ホームページ:http://www.guangzhou.cn.emb-japan.go.jp/
○在上海日本国総領事館
上海市万山路8号
電 話:(86-21)5257-4766
FAX:(86-21)6278-8988
ホームページ:http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/
○在瀋陽日本国総領事館
遼寧省瀋陽市和平区十四緯路50号
電 話:(86-24)23227490
FAX:(86-24)23222394
ホームページ:http://www.shengyang.cn.emb-japan.go.jp/jp/index.htm
○在重慶日本国総領事館
重慶市渝中区鄒容路68号 大都会商厦37F
電 話:(86-23)6373-3585
FAX:(86-23)6373-3589
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○在香港総領事館
香港中環康楽廣場8號交易廣場第一座46樓及47樓
電 話:(852)25221184
FAX:(852)28680156
ホームページ:http://www.hk.emb-japan.go.jp/index_j.html
○在大連出張駐在官事務所
遼寧省大連市西崗区中山路147号森茂大厦3階
電 話:(86-411)8370-4077、4081、4082
FAX:(86-411)8370-4066
ホームページ:http://www.dalian.cn.emb-japan.go.jp/
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