5日、G20サミットがロシアで開催され、会議の開始前には、習近平・中国国家主席と日本の安倍晋三総理が貴賓室で一緒になり、簡単な言葉を交わした。安倍総理は、日中関係の改善を切実に希望している旨述べた。日中関係の将来はどのようになるのか。最近、本紙は、木寺昌人・在中国日本国大使の単独インタビューを行い、木寺大使は、日中関係の現状、歴史と将来の方向等の問題について語った。「釣魚島の争い」(原文ママ)の後の危機にあって、大使の任命を受けた木寺昌人大使は、自ら日中関係の多くの難局を経験してきた証人である。木寺大使は着任後、積極的に日中の民間の関係改善を促進し、何度も「足で稼ぐ外交」を展開している。しかし一方、日本の政局は徐々に右翼が力を増してきており、平和的で理性的な声は、安倍内閣の「憲法改正」、「軍隊保有」の主張に埋没している。
中国での生活
北京の市民に大使だと分かると記念写真を求められる
「華商報」:大使は着任されてから、「足で稼ぐ外交」を展開していると伺ったが?
木寺大使:私は昨年12月25日に北京に着任してから、中国の日本企業の現場を視察したり,天津や上海等を訪問して,日中関係のために尽力されている日本人や日本企業の関係者と意見交換をしてきた。少し前に、私は妻と共に北京の南羅鼓巷に買い物に行った際、ある市民が私が日本大使だと分かって、わざわざ足をとめて私と一緒に写真を撮り、親しく会話を交わした。こうしたことは、彼らが日本に関心、興味があるということであり、強く勇気づけられた。私が中国に来て感じることは、中国社会の発展であり、日本に対しても、中国の経済成長の著しさと社会に充満している活気と力強さを紹介している。
私は外交官であり、これまでずっと対話の重要性を強調している。一に対話、二に対話、三に対話である。私自身は、「足で稼ぐ外交」で、できるだけ国民レベルの相互理解促進のために努力している。日中関係は国交正常化以来40年発展してきており、現在の日中関係は非常に幅広く、深くなっている、簡単には壊されないと信じている。
歴史の反省
日本はアジアの人々を傷つけたことにお詫びを表明
「華商報」:東アジアの各国で日本に歴史を正視するよう呼びかける声があることをどう見ているか。
木寺大使:私が昨年着任した時はまさに日中関係が難しい状況にあり、私にとってこれは挑戦であった。中国の方々の日本、あるいは日本人に対する印象が、実態と大きくかけ離れていることには留意しており、常々心を痛めている。歴史認識について、我が国政府の立場は明確である。日本は先の大戦に至る一時期、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。これまで、日本政府は、こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表明してきている。安倍内閣も歴代内閣の立場を引き継いでいる。
「華商報」日中関係の将来をどのように位置づけているか。
木寺大使:1980年代に訪中したとき、日中双方の交流は主に官が主導していると感じた。その後、日中両国は経済分野を中心に交流の幅は広がり、現在では、民間レベルの関係が様々な分野で築かれている。今後は、こうした交流が更に深まり、日中両国の民間で真に深く幅広い関係が築かれていくことが必要である。そして、政府はそうした関係をより良く支えていくような状況にしていきたい。
シルクロード
文明は長安から日本まで伝えられた
「華商報」:西安を訪問したことはあるか。
木寺大使:私は西安には大変興味を持っている。1986年に私は初めて訪中し、当時、西安の兵馬俑や華清池を参観し、大雁塔にも登った。シルクロードは、文明を長安から日本まで伝えた。日本人は西安と聞くと、シルクロードを連想し、多くの日本人が西安に対して一種の親近感を持っている。2011年に奈良県と陝西省は友好関係を締結したが、他にも西安市と奈良市、京都市、船橋市、古浜市の4都市が友好関係を結んでいる。
1992年、天皇皇后両陛下が初めて中国を訪問された際、中国政府と国民から熱烈な歓迎を受けた。これは今でも私の記憶に新しい。当時両陛下は、西安も訪れ、古城壁に登られたり、陝西省博物館も見学された。近年は、内陸部の発展を重視する政策によって、陝西省の経済成長は著しい。中国の代表的都市の一つとして、西安は日本でも知名度が高く、私自身、早く西安を再び訪れたいし、自らの目で見たことを日本の皆さんにも紹介したい。
「華商報」:大使は日中の協力の潜在力をどう見ているか。日中が陝西省でどのような分野や交流プロジェクトで協力ができるか。
木寺大使:日本と陝西省の間には、多くの分野で協力プロジェクトがある。例えば、野生動物保護の分野では、「人とトキが共生できる地域環境づくりプロジェクト」があり、トキの生活環境の保護と農村地域の開発の両立のため、日本は中国に専門家を派遣している。
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