草の根 ちょっといい話
― リサイクルで広がる友達の輪 ―
「テストで一番になったら、借金をしてでも必ず中学まで進学させてくれると、父が約束してくれました。」
草の根無償資金協力案件「手をつなごう地球村・環境美化計画」では、中国の都市部の小学生がリサイクル活動を通じて得た収入で同じ中国の農村部の小学生に本を送るという計画に対して、主にそのリサイクル活動に資金面での支援を行いました。その後都市部の小学生は自主的にリサイクル活動の輪を広げ、現在は、多くの農村の小学校に本が届けられ、都市部と農村部の小学生同士の交流も盛んに行われています。
冒頭の言葉は、河北省赤城県にあるモンゴル族小学校5年の郭偉傑くんが草の根無償の式典で涙を浮かべながら都市部の小学生に向けて述べた言葉です。その言葉は中国の新聞のみならず、日本の新聞でも大きく報道されました。郭くんが住んでいるのは北京から250kmほど離れた貧困農村地域。そして、郭くんの通う小学校は生徒37人、教師1人という小さな学校です。そこに98年から「手をつなごう地球村」のリサイクル活動を行っている北京展覧路第一小学校がリサイクル活動で得た1000元で本を贈ったのですが、学校を代表して郭くんの学校まで本を届けに行ったのが北京育ちの李所然くんでした。李くんは、郭くんと友達になり文通をはじめます。仲良くなった二人、郭くんは夏休みの一週間を北京の李くんの家にホームステイすることにもなりました。本を読み、北京に行き、外の世界に触れた郭くんは、勉強に取組む姿勢も変わりました。そんな郭くんに父親が述べたのが冒頭の言葉だったのですが、変わったのは郭くんだけではありませんでした。次の言葉は李くんが同じ草の根無償の式典で述べた言葉です。「僕と郭くんは一緒に天安門の国旗掲揚を見て、動物園やマクドナルドにも行きました。郭くんは見るもの何にでも興味をもったようで、『これは何?あれは何?』と僕は質問攻めに合いました。電子レンジを見るのも初めてだったようです。郭くんは絵を描くのが好きなので、パソコンの画面にもとても興味を持ったようでした。郭くんは、農村の子供も外の世界にとても興味を持っていると話してくれました。僕も郭くんから多くのことを学びました。今でも僕たちは文通を続けています。一生の友達になれたらいいと思います。」
急速な経済発展を遂げる中国。都市部では多くの一人っ子が両親と祖父母たちに囲まれて、精神的にも物質的にも不自由なく育っており、今ではその弊害が心配されるほどです。一方で、農村部では、子供たちが雨漏りのする学校の古ぼけた机で学ぶ姿があちらこちらで見られます。そのような状況の中、李くんと郭くんのように都市と農村の小学生がお互いのことを知り、お互いに成長できたのであれば非常に嬉しいことです。我が国の草の根無償資金協力はそんな子供たちの草の根レベルでの交流にも結びついています。
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