「湖北省来鳳県革勒車郷衛生院入院病棟建設計画」、「湖北省神農架林区中医医院医療機材整備計画」の贈与契約署名式を開催
(10.11.27)
11月27日、湖北省恩施市において、平成22年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「湖北省来鳳県革勒車郷衛生院入院病棟建設計画」及び「湖北省神農架林区中医医院医療機材整備計画」の贈与契約署名式が執り行われました。当館より原田書記官が、中国側より呉建民・湖北省人民対外友好協会 秘書長、曹 毅・湖北省恩施自治州副州長、胡 澤・湖北省来鳳県人民政府県長、汪鴻波・湖北省神農架林区人民政府副区長他が出席しました。
【署名案件Ⅰ】
(1)案 件 名:湖北省来鳳県革勒車郷衛生院入院病棟建設計画
(2)被供与団体:湖北省来鳳県人民政府
(3)案件概要:
湖北省西南部の来鳳県革勒車郷衛生院において、安全な医療環境を確保するため、D級危険建築物(注:A~D級までの4段階、D級が最も深刻)に指定されている現有の入院病棟を取り壊し、新たに入院病棟1棟(鉄筋コンクリート構造、2階建て、建築面積823㎡)を建設する。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
湖北省西南部に位置する来鳳県は面積1,339k㎡、人口30.67万人を有する。恩施土家族苗族自治州に属し、人口のうち約半数の14.72万人が少数民族である。県民の平均年収は1,202元(2009年の統計)と低く、国家級貧困県に指定されている。
来鳳県革勒車郷衛生院は1973年設立の公立郷鎮衛生院であり、医師11名、看護師6名、その他職員3名の計20名が勤務する。入院ベッド数は30床、年間来院患者数は述べ約1万8千人である。同衛生院の主要な設置科は内科、外科、産婦人科、小児科である。
同衛生院の現有建物は外来病棟と入院病棟各1棟である。外来病棟は今年完成(老朽化した診察棟を取り壊して新築)し、鉄筋コンクリート構造(一部レンガコンクリート構造)、5階建て、2,773㎡で、64室を有している。入院病棟は1978年に建築され、木造、平屋518㎡、病室30室を有していたが、2009年9月にD級危険建築物に指定され、現在は使用停止となっている。
そのため、本来入院病棟として使用する予定のなかった外来病棟に、臨時に病室(15室、30床)を設置しており、本来当該病院が果たすべき機能(各村の診療所に対する管理・指導、薬品の保管管理、患者の健康管理ファイルの保管等)が適切に果たせていない状況にある。また、そもそも省の規定により、郷鎮衛生院では、院内感染を防ぐため感染症患者や重症患者の病室は外来病棟とは離れた場所に設置しなければならないが、現在はやむなくその規定を遵守できない状況である。
こうした状況を改善するためには、新たな入院病棟の建設が必要不可欠であるが、同県の財政状態は支出超過(歳入22,068万元、歳出44,020万元:09年)にあり、同衛生院の新病棟建設に資金を捻出することが困難であるため、日本政府へ支援を要請したものである。
(5)裨益効果:
本件の実施により、革勒車郷の住民2.1万人及び周辺地区の住民約1.5万人が安全性の高い医療サービスを享受できるようになる。
(6)供与限度額:100,993米ドル
【署名案件Ⅱ】
(1)案 件 名:湖北省神農架林区中医医院医療機材整備計画
(2)被供与団体:湖北省神農架林区人民政府
(3)案件概要:
湖北省西部の神農架林区の医療条件改善のため、交通の便が悪い山岳地域における中核病院として必要な医療器材7点(救急車、呼吸器、脳波測定装置、Cアーム型レントゲン、心拍監視装置、胎児心拍監視装置、心電図)を整備する。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
湖北省西部に位置する神農架林区は面積3,250k㎡、人口8万人を有する。森林が70%を占めており、森林公園などの景勝地がある自然が豊かな地域で、キンシコウなど保護動物の生息地でもある。観光業と農業が主な産業であるが、農村部の住民の平均年収は2,100元(2009年の統計)と低く、国家級貧困県に指定されている。
神農架林区中医医院は、神農架林区木魚鎮の中心地に位置し、同鎮に加え周辺4つの鎮を管轄している。1971年に設立され、医師41名、看護士15名、その他職員6名の計62名が勤務する。入院ベッド数は35床、年間来院患者数は述べ約3万人である。また、同区は年間約170万人の観光客が訪れる観光名所であり、同区内で最大規模の病院である同医院には多数の旅行客患者も来院する。同医院の主要な設置科は内科、外科、産婦人科、中医科、歯科である。
上記のとおり管轄が広範囲に亘っていることから、救急車の使用を必要とする場面は少なくとも年間500回はあるにも関わらず、現在所有している救急車はすでに耐用年数を過ぎ廃車となったため、小型ワゴン車で対応している状況にある。また、医療機材の不足から、重病の可能性がある場合は、数百キロも離れた近隣の県や市の病院に診察に行く必要があり、昨年同医院で対応できなかった患者数は延べ約2万人にも上り、国家級貧困県に属する住民の経済的負担を更に増加させている。
こうした状況を改善するため、新しい医療機材の整備が急務となっているが、同県の財政状態は支出超過(歳入2,245万元、歳出2,368万元:2009年)にあり、当該整備に投じる資金を捻出することが困難であるため、日本政府へ支援を要請越したものである。
(5)裨益効果:
本件の実施により、木魚鎮の住民4.2万人、周辺地域の住民約20万人、観光客約170万人がより水準の高い医療サービスを享受できるようになる。
(6)供与限度額:103,316米ドル
|