「山西省沁県筆峰山中心学校校舎建設計画」の竣工式を開催
(10.12.01)
12月1日、当館における今年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、「山西省沁県筆峰山中心学校校舎建設計画」の竣工式が、山西省において執り行われました。竣工式には、当館より甲木参事官、中国側より安●(てへんに全)平・山西省沁県人民政府副県長、呉高宏・沁県教育局長、魏応忠・沁県文化局局長、田宝明・沁県教育局副局長、田保民・山西省商務庁ほかが出席しました。
(1)案件名:山西省沁県筆峰山中心学校校舎建設計画
(2)被供与団体:山西省沁県人民政府
(3)案件概要:山西省長治市、沁県筆峰山開発区内に位置する筆峰山中心小学校において、教室不足及び校舎老朽化問題を解決し、同校の教育環境を改善すべく、新たに校舎1棟を建設するための資金を供与するもの。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
長治市沁県は山西省の省都・太原市より南へ約160kmの距離に位置し、人口17万を擁する。県の主要産業はトウモロコシ、ジャガイモ栽培を主軸とする農業であるが、黄土高原地帯の土壌は元来農業に適さず、また年平均降水量が僅か523mmと少ない乾燥地域に位置しているため、農業が確たる産業基盤であるとは言い難い。農業のほか特筆すべき産業が無いため県民平均年収は1,736元(約2万6千円)と低く、同県は省級貧困県に指定されている。
筆峰山中心小学校は沁県中心部から約5km離れた開発区内にあり、4~6年生の児童227名、教員17名から成る。同地区では低学年の児童は村級の小学校や各村の“教育点(村民委員会の建物や民家等、県や郷から派遣された教員が授業を行っている所)”で授業を受けており、同校には通学していない。
当校は70年代末に「良基学校」という名で創立され、90年代末からは校舎老朽化が原因で閉校の危機に追い込まれていた。しかし、2003年夏、同校周辺が県の経済開発区に指定され、新たな住居区が建設されていることから、地域の教育環境を整備する必要性が高まり、同校は開発区管轄のもと「筆峰山中心小学校」として再スタートを切った。資金不足のため校舎老朽化問題は依然解決されないままだが、当校の果たす役割に対する地元の期待は大きかった。
同校には、教室校舎1棟、宿舎3棟のほかトイレ棟、食堂棟が現存し、全て平屋建ての簡素なものであった。宿舎3棟のうち2棟は良基学校創立当時に建築されたもので、屋根は大きく波打ち、崩落しかけている箇所も見られるなど老朽化の程度は甚だしかった。特に北側の1棟は崩壊寸前で使用不能の状態であり、常に児童、教員の安全を脅かしていた。また、教室校舎には普通教室が4室設けられているが、5年生は76名が一室で授業を受けているような状態であり、校舎老朽化のみならず、教室不足問題も極めて深刻であった。
上記の事情に鑑み、県政府は新たに校舎を建設し、教育環境の改善を図ることを決定したが、同県は省級貧困県であり(06年財政収入:6,150万元、支出:2億2,166万元)、十分な予算措置をとることが困難であるため、日本政府に援助を要請したものである。
(5)裨益効果:
本件の実施により、筆峰山中心小学校の生徒360人が、安全で快適な環境で学習することが可能になる。
(6)供与限度額:85,079米ドル
(7)特記事項:
本件の竣工後、コクヨ・インターナショナル株式会社より筆峰山中心小学校に対し720冊のノートが寄贈されることになっている。
|