「山西省翼城県南常小学校宿舎建設計画」の竣工式を開催
(10.12.02)
12月2日、当館における今年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、「山西省翼城県南常小学校宿舎建設計画」の竣工式が、山西省において執り行われました。竣工式には、当館より甲木参事官、中国側より趙雁鋒・山西省翼城県県長、楊忠華・山西省翼城県副県長、郭生財・山西省翼城県政協副主席、劉錦明・中国国家発展改革委員会対外経済研究所 所長助理ほかが出席しました。
(1)案件名:山西省翼城県南常小学校宿舎建設計画
(2)被供与団体:山西省翼城県教育局
(3)案件概要:山西省南西部に位置する翼城県南梁鎮南常小学校において、宿舎、ボイラー室を建設するとともに、机・イスセットの購入、及び校庭のコンクリート整地を行うための資金を供与するもの。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
山西省南西部にある翼城県は、陝西、河南との省境近くに位置し、大陸性乾燥気候帯に属する。人口約30万人を擁する同県の主要産業は農業であるが、周辺を覆う黄土は農業に向かない痩せた土壌であるため栽培できる品種は限られ、確固たる経済基盤となるには至っていない。また、同県は山間丘陵地帯に位置しており交通事情が劣悪で、経済発展を著しく妨げている。本件プロジェクト・サイトの南常村は、県内でも貧困が深刻な地域とされ、村民の平均年収は約300元(約4,500円)と特に貧しい。
県内における教育事業は未だ発達段階にあり、義務教育修了者の高校進学率は約30%と低い。地元政府は、県が高校教育を、郷鎮が中学校教育を、村が小学校教育を管轄するという現場主義的な「三級教育管理制度」を採用するなどして、県内教育事業の改善に向け努力している由だが、逼迫した経済事情のため(06年度県政府財政=収入:5.38億元、支出:5.82億元)教育事業に十分な資金を投入することができず、成果が顕れるには至っていない。
翼城県南東にある南常小学校は1956年に設立され、現在生徒326名、教員14名から成る。当校には平屋建ての宿舎が2棟現存するが、それらは60年代に建築されたもので、既に材木は腐食し、虫害も酷く、D級危険建築物に指定されている。雨の日には雨漏りがするなど、既に宿舎として使用できる状態ではなく、目下のところ臨時教室として使用されている。本来、寄宿が必要とされる生徒は68名いるが、現在は学校付近の民家で下宿しており、経済的負担を強いられている。
現地の緯度は極端に高くはないものの、冬季は非常に寒冷で、1月には-20度近くまで気温が下がる。当校においては06年秋に新たな校舎1棟が建設されたが、未だ暖房設備が整えられておらず、このまま冬を迎えると非常に厳しい環境下で授業を行うことを余儀なくされる。また、教室内には机・イスは一切設置されておらず、現在は生徒たちが持参したものを使っており、学習に支障を来たしている。
同校校庭の土質は黄土質で大変水はけが悪く、雨がひと度降ると歩くのが困難なほどぬかるんでしまう。また、乾季には土埃が舞い易く、眼や呼吸器の健康を害する原因となっている。
かかる状況を改善するためには宿舎の改築、暖房設備や机・イスなど附属施設の整備、および校庭のコンクリート整地が必要であるが、現地政府では十分な予算措置をとることが困難であるため、日本政府に援助を要請したものである。
本件の実施により貧困地域の教育環境が改善される必要性、意義は非常に大きく、また、本件は実施後、学校名に「中日友好」が付与される案件であり、草の根レベルで中国人の対日理解を深め、対日観を好転させるという政策目標に沿うものである。
(5)裨益効果:
南常小学校の生徒326名が快適な環境で学校生活を営むことが可能になり、また、現在学校付近での下宿を余儀なくされている68名の生徒が校内宿舎で生活することが可能になる。
(6)供与限度額:84,436米ドル
(7)特記事項:
本件の竣工後、コクヨ・インターナショナル株式会社より南梁鎮南常小学校に対し1,650冊のノートが寄贈されることになっている。
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