「寧夏回族自治区固原市原州区河川郷小中学校宿舎建設計画」の竣工式典を開催
(10.12.08)
12月8日、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「寧夏回族自治区固原市原州区河川郷小中学校宿舎建設計画」の竣工式が現地で行われました。竣工式には、当館より三重野真人書記官、中国側より 程陽春・寧夏回族自治区商務庁外経処副処長、範宏明・寧夏回族自治区固原市人民政府副市長、丁永安・寧夏回族自治区固原市教育局副局長、呉万俊・寧夏回族自治区固原市原州区人民政府副区長ほかが出席しました。
(1)案件名:寧夏回族自治区固原市原州区河川郷小中学校宿舎建設計画
(2)被供与団体:寧夏回族自治区固原市原州区人民政府
(3)案件概要:寧夏回族自治区固原市原州区河川郷において、小中学校(9年一貫制)の宿舎を建設するための資金を供与する。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
寧夏回族自治区南部、六盤山の東山麓に位置する固原市原州区(元の固原県)は、面積3,506k㎡、人口50万2,200人(回族人口割合45.8%)を有する県級区である。住民の約80%を占める農民は、小麦、トウモロコシ、胡麻、蕎麦等の作物を育て主な収入源としているが、市の85%以上が山地であることに加え、旱魃や降雹、砂嵐などが頻発する地域であることから、大部分は非常に厳しい自然条件の中で生産活動を営むことを余儀なくされている。また収穫量の多寡は天候に左右される要素が極めて高いため、雨が降らず作物が発芽しない等の理由から、外地に出稼ぎに行く人々の割合も全体の約50%と高い。これらの理由から、同区住民の平均収入は1,920元と低く止まり、1983年より国家級貧困区の指定を受けている。
同区河川中学校(生徒数418人、教師数41人)は、河川郷にある唯一の中学校である。同校では2005年に地方政府からの補助を受け校舎の改築を行ったが、宿舎建設資金までは工面できず、もともと校舎として使用していた教室4棟を現在宿舎として使用している。同校では全校生徒の85%が寄宿を必要としているが、宿舎が絶対的に不足しており1教室に38-42人が同居している状態である(宿舎面積は600㎡、寄宿生は320人で1人当たりの面積は1.87㎡である)。また、それでも入りきれない40人は校外に部屋を借りて住んでいる。夏になると宿舎内には悪臭が漂い、また狭隘な教室内で大勢の生徒が生活しているためインフルエンザなどの感染率も高い。同校宿舎はC級危険建築物に指定されており、雨漏りがひどく、一度雨が降ると居住が困難な状況になるため、学校を休校にすることもある。また室内には暖房設備がなく冬には七輪で暖をとっているため、非常に危険である。
08年、学区整理により付近の8校の小学校のうち5、6年生が同校隣にある河川小学校に通うこととなり、また、同校と河川小学校とが合併し小中一貫の9年制学校となった。その結果、全校生徒数904人のうち寄宿を必要とする生徒は450人余りまで増加し、既存の宿舎では全ての生徒を受け入れることは出来ないため、宿舎に入りきれない児童らは一時的に親戚の家からの通学を余儀なくされている。このような現状を改善するため、宿舎の改築は急務である。
(5)裨益効果:
本件の実施により、同校校区において寄宿を必要とする生徒450名(実施後の寄宿予定生徒数)が安全且つ十分な生活スペースの下で起居することが可能となる。
(6)供与限度額:88,421米ドル
(7)特記事項:
本件の竣工後、コクヨインターナショナル株式会社より同校に対しノートが寄贈される予定である。
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