北京地区出稼ぎ工法律支援研修計画最終プロジェクト評価会議を開催
(11.01.19)
1月19日、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「北京地区出稼ぎ工法律支援研修計画」の最終プロジェクト評価会議が北京市内で行われました。会議には、当館より中村書記官、大崎書記官、三重野書記官、中国側より王燕斌・北京在行動国際文化中心副理事長、馬現愛・北京在行動国際文化中心主任ほか約50名が出席しました。
(1)案件名:北京地区出稼ぎ工法律支援研修計画
(2)被供与団体:北京在行動国際文化中心
(3)案件概要:
北京地区における出稼ぎ工を対象に新労働関係法令に関する研修を実施する。
(4)社会的背景・ニーズ:
本件被供与団体は北京地区の出稼ぎ工に対し、労働に関する法律知識不足の為に発生する労働関係における権利侵害問題等を解決すべく設立された非政府・非営利の団体である。また、2007年中国社会工作協会社会公益工作委員会に登録済みであり、中国国際民間組織合作促進会の正式会員でもある。主な活動内容は専門家による労働関係法令についての相談受付や、労働関係法令に関する研修で、労働問題の解決及び労働者の法律権利意識の向上を目標としている。同団体で法律相談や就労に関する相談を受けた労働者は12,910人に達し、また、労働問題に関する電話相談等も行う等、社会的弱者である出稼ぎ工が抱える問題解決に向け、積極的な活動を行っている。
2008年度北京市公安局の統計によると、北京地区の外地からの移住人口は359.9万人とされ、そのうち210万人が、行政機関が少なく、工業密集地帯である北京市郊外に居住している。出稼ぎ工の大部分は、北京市郊外の居住し、また日本におけるいわゆる3Kに相当する仕事にしかつけず、さらに正規の労働契約を締結できないため、合法的な労働権益の保障が得られない。そのため給料の未払いや劣悪な労働条件での就労に関する問題が発生しているにも関わらず、その解決方法を見出せないでいる。このような状況の中、問題を抱えた出稼ぎ工が飛び降り自殺や焼身自殺をはかり、雇用側へ抗議する事件が発生するなど、労働に関する問題は深刻な事態に発展している。
(5)裨益効果:
本件研修の実施により、北京地区の出稼ぎ工のうち約.630300人が労働関係法令に関する知識を習得することができ受講生及び受講生周囲の出稼ぎ工が労働関係において権利が侵害されることを予防し、侵害された場合でも適切かつ適時に解決方法を取捨選択することができるようになる。本件広報啓発用資料(総計56,090組/冊)の配布により、北京地区の出稼ぎ工約56,000人に労働関係法令に関する知識を広く伝播させ、自らの権利侵害の予防やそれへの対応能力向上が期待される。
(6)供 与 額 :57,515米ドル(人民元39万元相当)
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