「北京市朝陽区環境NGO実施プロジェクト支援計画」の署名式を開催
(12.03.09)
3月9日、当館における今年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、「北京市朝陽区環境NGO実施プロジェクト支援計画」の贈与契約署名式が、北京において執り行われました。署名式には、当館より山﨑和之公使が、中国側より李力・北京市朝陽区環友科学技術研究中心主任ほかが出席しました。
【案件概要】
(1)案 件 名:北京市朝陽区環境NGO実施プロジェクト支援計画
(2)被供与団体:北京市朝陽区環友科学技術研究中心
(3)案件概要:日中専門家指導のもと、廃油を利用して粉石けんを作る機材4台を製作・設置し、中国にまだ一般的に浸透していないリサイクル概念を普及するためのハンドブック及び普及啓発資料を作成するもの。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
現在、中国社会では、家庭、レストラン等において、一般的に食用廃油の処理という概念は普及しておらず、廃油は下水に流されている状態である。下水に流された場合、環境汚染が引き起こされ、住民の飲み水にも影響を与える可能性がある。また、中国では、レストランから買い取った廃油を再製し違法に販売する「地溝油」事件が多々発生しているが、食用油(地溝油)は、衛生上問題があるだけでなく、アフラトキシンと呼ばれる強い毒性を持つ発ガン性物質が含まれており、大きな社会問題となっている。
上記のような問題を解決する一つの手段として、同NGOは、日本で普及している廃油リサイクルの手段を利用しようと考えた。
日本では、琵琶湖の水質を保全するとともに、廃食油を有効活用するため、「菜の花プロジェクト」(滋賀県において合成洗剤に代え「石けん」を使おうという運動をきっかけに、家庭から出る廃食油を回収してリサイクル石けんを作る活動)が実施されており類似の取組が20数カ国に広く伝播している。こうしたことから、本件供与団体は技術、研修において日本から経験を学ぶことが必要であると考えた。
本件被供与団体は、日本の「菜の花プロジェクト」の指導の下、4台の廃油処理プラントを設置し、住民や学生等を対象とした廃油リサイクルに関する実地研修等を無料で行うことを目的とし、資源の節約、水質汚染の防止、健康被害の防止、関連知識の普及を図り、人々の生活環境の向上を図ろうとするものであるが、独自で十分な予算措置をとることが困難であるため、日本政府に援助を要請したものである。
(5)裨益効果:
本件の実施により、4つのモデルサイト(学校、レストラン、コミュニティ及びNGOオフィス)において、学生600人、住民約720人が廃油を利用した粉石けんを作るプロジェクトに参加する。また、本事業には、被供与団体と連携して活動している中国各地の環境団体が高い関心を持っており、本事業をモデルケースとして成功させ全国各地に普及することにより、環境破壊・健康被害の防止を広く実現することが期待される。
(6)供与限度額:107,534米ドル。
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