北京市西城区障害者NGO実施プロジェクト支援計画の署名式を実施
(12.03.16)
3月16日、当館における今年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、「北京市西城区障害者NGO実施プロジェクト支援計画」の贈与契約署名式が、北京市において執り行われました。署名式には、当館より岩本桂一参事官が、中国側より丁啓文・北京紅丹丹教育文化交流中心理事長、鄭暁潔・北京紅丹丹教育文化交流中心主任ほかが出席しました。
署名案件
(1)案 件 名:北京市西城区障害者NGO実施プロジェクト支援計画
(2)被供与団体:北京紅丹丹教育文化交流中心
(3)案件概要:現在の録音室を録音室4室、サーバー室1室、計5室に区切り、同時に4人のボランティアが録音作業できるよう整備し、録音室と編集室のネットワークを整備する。またDAISY録音図書再生機(目次から聴きたい章や節、任意のページに飛ぶことができる再生機)10台を整備する。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
中国の視覚障害者は全国で約1,700万人いるといわれ、うち北京の視覚障害者数は約10万人である。視覚障害者が情報を得る手段として点字図書があるが、点字図書を発行している出版社は中国盲人出版社の一社しかなく、その中国盲人出版社も資金、技術不足のため、製作された点字図書は年間150タイトルにとどまり、視覚障害者に十分な情報を提供できない。視覚障害者は、点字図書のほかに、録音図書も情報を得る手段として活用しているが、中国では普及していない状況にある。
(ロ)録音図書では、DAISY(デイジー)と呼ばれる録音図書再生機(国際基準で作られ日本を始め世界50国において普及しているシステム)が必要であるが、中国では日本から持ち込んだ再生機数台があるのみである。デイジー図書の主な特徴は、自由にページを指定することができることであり、視覚障害者の基本的な生活に大きく貢献するものである。また、録音図書は点字図書に比べ、複製しやすいというメリットがある他、録音されたCDは郵送にも適しており、貸し借りが簡単なことから、ボランティアによって録音された録音図書は多くの視覚障害者に届けることが可能である。
(ハ)本件被供与団体は視覚障害者に対し、音声による情報の提供や文化サービス(視覚障害者への映画放映会等)を行い、視覚障害者の自立及び環境整備を行うべく設立された非政府・非営利の団体であり、現在中国で視覚障害者向けに録音図書の製作に力を入れている団体である。同団体は視覚障害者を対象とし、年間120冊以上(年間)の録音図書の製作を目指しているが、同録音室は現在防音設備が整っていないため、十分な製作活動を行えずにいる他、録音図書再生機も7台しかなく、多くの障害者の需要に応えられていない状態である。
(ニ)このような状況を踏まえ、より多くの視覚障害者に録音図書を普及させるためには、今後年間120冊以上の録音図書を安定して製作、提供するための録音施設の建設、ネットワークの構築、DAISY録音図書再生機の購入が急務であるが、同団体の収入源は国内外からの支援金が8割以上を占め、独自で十分な予算措置をとることが困難である。また、同団体は2009年から2010年にかけて、JICA草の根技術協力事業による「視覚障害者音声情報提供技術指導事業」を行い、日本が有する障害者向け副音声編集技術、録音ボランティア、録音編集ソフトの操作技術を取り入れていることなどから、日本政府の草の根支援を要請したものである。本プロジェクトの取組みを通じて録音図書を更に広く普及させ、情報を得るという視覚障害者の基本的社会生活の向上に資するものである。
(6)供与限度額:107,364米ドル
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