3月19日、北京市において、平成24年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「チベット自治区拉孜県医療機材整備計画」の贈与契約署名式が執り行われました。当館より野村恒成参事官、垣内晋治一等書記官他が、中国側より阿南拉孜県副県長、丹増卓瑪拉孜県衛生局局員他が出席しました。
【署名案件】(計1件)
(!)案 件 名:チベット自治区拉孜県医療機材整備計画
(2)被供与団体:チベット自治区拉孜県人民政府
(3)案件概要:
チベット自治区拉孜県に所在する医療施設である拉孜県衛生サービスセンターの医療環境を改善するため、手術台、分娩台、除細動器、心電計、携帯型エコー、心電モニター、X線現像機、整骨科手術セット、無影灯、麻酔機を整備する。
(4)案件の社会的背景・ニーズ:
チベット自治区拉孜県は、チベット自治区の西南部(シガツェ地区西部)に位置し、ラサから379㎞離れた場所に位置する。人口は約54,000人で、うち少数民族が約53,000人を占める。同県の面積は4,505平方キロメートル、平均海抜は4010mの高地にあり、乾燥した寒冷気候にある。同県の平均年収は3731.81元(約602ドル)である。
同県に所在する衛生サービスセンター(医師28名、看護師17名、ベッド数156床)は、拉孜県衛生局の傘下にある医療機関である。同センターは、拉孜県の住民のほか、同県周辺のシガツェ地区西部の7県の住民(これら地区の住民は合計33万2千人)に医療サービスを提供しているほか、シガツェ地区西部を訪問する観光客11万8千人にも必要な医療を提供しており、同センターの年間診察者数は約10万人以上であり、その内急患は1000人以上に上る。
同センターは、一般的な診察を行うほか、産婦人科を有し、さらに入院棟を完備する地域の中核的な医療機関であるが、同センターが所有する、手術台、分娩台、除細動器、心電計、エコー、心電モニター、X線現像機、無影灯及び麻酔機は、老朽化が激しく、一部は購入後10年以上が経過した機材であり、しばしば故障もするため、患者のニーズに応じた治療を行うために使用できる状況にない。また整骨科手術セットは数が足りておらず、緊急時等において適切な利用ができない。
このような状況を改善するため、同センターを管理する拉孜県人民政府は、手術台等10品の医療機材の購入を計画したが、同県人民政府の財政状況は厳しく、年間予算のほとんどを上級機関からの交付金に頼っており(2011年収入26940万元、支出26884万元)、自ら資金調達を行うことは困難であることから、日本政府に対して支援を要請越したものである。
(5)裨益効果:
本件実施により、同センターが管轄する拉孜県他シガツェ地区西部8県の住民33万2千人及び同地域を訪問する観光客年間11万8千人の医療サービス環境が改善される。
(6)供与限度額:114,772米ドル
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