3月18日、当館における平成25年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、「河北省懐来県瑞雲観郷横嶺村上下水道整備計画」の署名式が、北京において執り行われました。署名式には、当館より亀井啓次領事部部長、大矢一夫参事官ほか、中国側より馬鳳鳴・河北省懐来県人民政府副県長、高東昇・河北省懐来県人民政府弁公室副主任、劉志斌・河北省懐来県人民政府弁公室行政科科長ほかが出席しました。
【署名案件詳細】
- 案件名:「河北省懐来県瑞雲観郷横嶺村上下水道整備計画」
- 被供与団体:河北省懐来県人民政府
- 供与額:109,874ドル
- 案件概要:河北省横嶺村の村民居住環境改善のため、横嶺村の主要道路の下に896.4mの下水管を新規で敷設すると同時に、既に敷設されている上水道862.5mの修理を行う。上下水道の敷設・修理後、路面を舗装する。
- 裨益効果:懐来県瑞雲観郷横嶺村の800名余り270世帯の村民の生活環境が改善され、生活の質が向上する。
- 案件の社会的背景
①河北省懐来県瑞雲観郷横嶺村は省都石家庄から最寄りの沙城駅まで鉄道で5時間、そこから車で約1時間の距離にある低所得村落である。主な産業は農業であり、農産物の中でも主にリンゴ、杏などを栽培している。
②県内各地域の経済発展状況には格差が存在(都市部の平均年収は18,239元(3,000米ドル)、農村部は8,986元(1,478米ドル))し、プロジェクト実施地である横嶺村の経済力は乏しい。同村は山中に位置し、企業が存在せず、組織的な収入源がないため、村の維持費は上級部門の資金交付に頼るしかない状況である。
③現在、横嶺村には、下水処理設備が整備されておらず、生活廃水が道路へ垂れ流されており、以下の問題が生じている。
●垂れ流された水が土壌及び地下水を汚染し、地下水を飲料水の水源とする村民の健康に影響
●道路が舗装されていないことから水が路上に溢れることで汚泥が堆積し、夏場は異臭を放ち、冬場は凍結により道路がふさがれ通行が困難
④また、上水道については地下水をくみ上げる形で既に整備されているが、すでに10年以上経過している。その間、配管内の検査は実施しておらず、飲料水の安全性は保証できない状態である。また、水圧が低く、配管の劣化・腐食により部分的な漏えいを引き起こしている。
⑤このような中、限られた予算内では、村の上下水道整備に十分な費用を充てることが困難なため、草の根無償資金協力による支援の要請に至った。
⑥なお、横嶺村は、2012年11月万里の長城で遭難した日本人観光客等の捜索・救助活動が、吹雪の中で多くの村民等の支援を得て行われたところである。 |