垂大使が「日中新時代健康フォーラム」に出席(2020年12月22日)

令和2年12月23日
垂大使が「日中新時代健康フォーラム」に出席(2020年12月22日)
12月22日、ボアオ・アジア・フォーラム(BFA)及び日本医療国際化機構の共催による「日中新時代健康フォーラム」において、垂大使は総括発言を行ったところ、発言全文は以下のとおりです。
 

 

 
御列席の皆様

日本国駐中華人民共和国特命全権大使の垂でございます。本日は「日中新時代健康フォーラム」の開催、誠におめでとうございます。

本日のフォーラムでは、日中双方のハイレベル、また、官民をまたいだ各分野の専門家の皆様から、「人類の健康・地球の健康」とのテーマのもと、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた日中間の新たな健康・医療分野での協力のあり方や、グリーン成長やカーボンニュートラルなど環境分野での協力の可能性も含め、幅広く活発なご意見を伺いました。開催に尽力された主催者の皆様にも敬意を表します。
 
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さて、今年も早いもので残すところあと数日となりました。今年を振り返れば、2020年は新型コロナウイルス感染症という未曾有の「挑戦」に対し、人類が世界各地において手探りで「応戦」を重ねてきた、忘れ難い一年となりました。
 
同時に、日中間では、新型コロナウイルス感染症をきっかけとして、多種多様なレベルでマスクや防護服といった支援物資を送りあう、心温まるエピソードが数多く見られました。例えば、日本医療国際化機構はアリババ公益基金会から提供された支援物資を日本国内に配布されました。また、日本から中国に贈られた支援物資に「山川域を異にすれども 風月天を同じうす」をはじめとする美しい漢詩が添えられていたことも大いに話題になり、これまで両国が積み重ねてきた日中関係の厚みを改めて感じさせる一年でもありました。
 
また、本年9月には、菅義偉総理が就任直後に習近平国家主席との間で日中首脳電話会談を行いました。先月には、新型コロナウイルスの拡大により日中間の人的往来が中断して以降、初のハイレベル往来として王毅・国務委員兼外交部長が訪日しました。日中外相は、安定した日中関係は地域及び国際社会にとり極めて重要であり、共に責任ある大国として、コロナ対策を含めた国際社会が直面する諸課題に取り組むことを確認しました。
 
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このような中、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は、引き続き人々の健康や生命、そして世界中の社会経済に深刻な課題をもたらしています。両国が科学的知見や有効な対策を共有することは、パンデミックに立ち向かうために非常に重要です。

また、両国は高齢化という共通の課題を抱えています。高齢社会において人々の健康を最大限に達成するため、「健康で活力ある高齢化」を促進し、医療サービスや技術を発達させることは、両国の共通の関心分野です。その意味において、先ほど、日中両国の間には昔から健康分野での交流の歴史があり、今後も大きな協力と発展の余地があるとの指摘もありましたが、本フォーラムは両国の医療・健康分野での交流・協力を更に活発なものとし、経験の共有や人材育成などの協力を進めていくものであり、非常に時宜にかなった取組であります。本日の議論が今後の交流・協力の進展のきっかけとなることを期待しています。
 
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御列席の皆様
 
私が着任以来申し上げているのは、日中両国は、外部環境に左右されない、安定的で建設的な日中関係を構築していく必要があるという考えです。中国との関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つです。日中間には様々な懸念や立場の違いもありますが、一方で、両国は互いに引っ越しができない関係にあるのも現実です。そうである以上、外交的に、日中間で安定した関係を構築していく以外に他のオプションはないと考えます。
 
主張すべきことはしっかりと主張しますが、一方で協力できることがあれば、そうした面をできるだけ増やして、積極的に協力していくことが不可欠です。健康・医療分野における交流・協力はまさにそのような協力を推し進めていける分野の一つではないかと考えます。
 
御列席の皆様
 
皆様ご存知のとおり、来年は東京オリンピック・パラリンピック大会が予定されています。新型コロナウイルスの脅威に打ち勝った証として、また、東日本大震災10周年の節目に当たり復興した日本の姿を世界の皆様に見ていただくため、成功裏に開催されることを期待しています。そして、来年を是非希望あふれる素晴らしい一年にしていこうではありませんか。
 
最後となりますが、本日のフォーラムのますますのご発展、また、ご列席の皆様が良いお年をお迎えすることを祈念し、ご挨拶とさせていただきます。