第2回日中観光代表者フォーラムが開催(2021年12月7日)
令和3年12月7日


12月7日、垂大使は、浙江省紹興市で開催された第2回日中観光代表者フォーラムにおいて、ビデオメッセージによる挨拶を行いました。
垂大使は、日中間の国民感情改善のためには、一人でも多くの人に相手国を直接訪問してもらう必要があり、この意味で日中関係の未来において観光が果たす役割は大きい旨述べるとともに、来年の日中国交正常化50周年を契機として、青少年交流を含めた日中間の人的交流の発展に向け尽力していく旨述べました。
本日、第2回日中観光代表者フォーラムが盛大に開催されますことを心よりお慶び申し上げます。中国文化旅游部、浙江省、紹興市の皆様を始め、日中双方の関係者の皆様の御尽力に深く敬意を表します。
皆様御承知のとおり、2019年まで、日中間の人的往来は、年間1200万人を超え、2000年近い両国の交流の歴史上、最も往来が盛んな時期を迎えておりました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、国境を跨いだ人々の往来が無くなってしまったことは、観光関連のビジネスを苦境に追いやったのみならず、人々の意識にも大きな影響を与え続けています。
日中両国が直面する大きな問題の一つに、互いの国民感情が悪化しているという問題があります。特に、国境を越えた往来ができず、対面での交流も限られている現在、日中両国民の国民感情は、改善の契機をつかむことは容易ではなく、ややもすれば悪化の一途をたどりかねません。
一方、コロナ禍が始まる前のここ数年は、各種世論調査によると、中国の人々の日本に対する印象は改善傾向にありました。一番の要因は、多くの中国人の方々が実際に日本を訪問し、自分の目で見ることにより、日本に対する印象が変わったからではないかと思います。
自分の目で見、自分の耳で聞く、自分の鼻でかぎ、自分の足で歩く。五感をフルに使って得た体験は、書物やネット情報だけでは伝え切れない感動と深い理解を我々に与えてくれます。漠然としたネガティブな印象を持っていた人たちも、実際に風景を眺め、街を歩き、人々と触れ合うことで、印象がきっと大きく変わるに違いありません。
国民感情の改善は、一朝一夕になし得ることではありませんが、有効な処方箋は、人々の交流の機会を増やし、一人でも多くの人に相手国を直接訪問してもらうことです。こうして初めて国民感情改善の土台ができると思います。
この意味で、日中関係の未来において観光が果たす役割は極めて大きいものがあると確信しております。
今回のフォーラムが開催される紹興は、魯迅先生の故郷であります。魯迅が日本に留学した際の恩師である藤野厳九郎先生との交流は、国籍や立場の違いを超えた相互の尊敬の念に満ちたものとして、現在でも日中両国で語り継がれています。
私は北京にあるレストラン「孔乙己」の庶民的な味が大好きですが、紹興を舞台とした魯迅の小説『孔乙己』(こんいーちー)に描かれた、酒場に集う市井の人々の息吹、『故郷』に描かれた惜別の情などは、時代と国境を越えて、心に響くものがあります。
魯迅の『故郷』の最後には有名な一節があります。「思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは地上の道のようなものである。もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」
来年は日中国交正常化50周年の節目の年を迎えます。これを契機として、日中間の人の往来、とりわけ青少年交流が重要であることは論をまちません。
私としましても、御来場の皆様と手を携え、更なる日中間の人的交流の発展、日中関係の未来に向け、共に歩き、希望の道を築くべく尽力してまいる決意であります。
最後になりますが、本フォーラムの御成功をお祝いし、そして皆様の御健勝と益々の御発展をお祈りして、私の挨拶とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
垂大使は、日中間の国民感情改善のためには、一人でも多くの人に相手国を直接訪問してもらう必要があり、この意味で日中関係の未来において観光が果たす役割は大きい旨述べるとともに、来年の日中国交正常化50周年を契機として、青少年交流を含めた日中間の人的交流の発展に向け尽力していく旨述べました。
本日、第2回日中観光代表者フォーラムが盛大に開催されますことを心よりお慶び申し上げます。中国文化旅游部、浙江省、紹興市の皆様を始め、日中双方の関係者の皆様の御尽力に深く敬意を表します。
皆様御承知のとおり、2019年まで、日中間の人的往来は、年間1200万人を超え、2000年近い両国の交流の歴史上、最も往来が盛んな時期を迎えておりました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、国境を跨いだ人々の往来が無くなってしまったことは、観光関連のビジネスを苦境に追いやったのみならず、人々の意識にも大きな影響を与え続けています。
日中両国が直面する大きな問題の一つに、互いの国民感情が悪化しているという問題があります。特に、国境を越えた往来ができず、対面での交流も限られている現在、日中両国民の国民感情は、改善の契機をつかむことは容易ではなく、ややもすれば悪化の一途をたどりかねません。
一方、コロナ禍が始まる前のここ数年は、各種世論調査によると、中国の人々の日本に対する印象は改善傾向にありました。一番の要因は、多くの中国人の方々が実際に日本を訪問し、自分の目で見ることにより、日本に対する印象が変わったからではないかと思います。
自分の目で見、自分の耳で聞く、自分の鼻でかぎ、自分の足で歩く。五感をフルに使って得た体験は、書物やネット情報だけでは伝え切れない感動と深い理解を我々に与えてくれます。漠然としたネガティブな印象を持っていた人たちも、実際に風景を眺め、街を歩き、人々と触れ合うことで、印象がきっと大きく変わるに違いありません。
国民感情の改善は、一朝一夕になし得ることではありませんが、有効な処方箋は、人々の交流の機会を増やし、一人でも多くの人に相手国を直接訪問してもらうことです。こうして初めて国民感情改善の土台ができると思います。
この意味で、日中関係の未来において観光が果たす役割は極めて大きいものがあると確信しております。
今回のフォーラムが開催される紹興は、魯迅先生の故郷であります。魯迅が日本に留学した際の恩師である藤野厳九郎先生との交流は、国籍や立場の違いを超えた相互の尊敬の念に満ちたものとして、現在でも日中両国で語り継がれています。
私は北京にあるレストラン「孔乙己」の庶民的な味が大好きですが、紹興を舞台とした魯迅の小説『孔乙己』(こんいーちー)に描かれた、酒場に集う市井の人々の息吹、『故郷』に描かれた惜別の情などは、時代と国境を越えて、心に響くものがあります。
魯迅の『故郷』の最後には有名な一節があります。「思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは地上の道のようなものである。もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」
来年は日中国交正常化50周年の節目の年を迎えます。これを契機として、日中間の人の往来、とりわけ青少年交流が重要であることは論をまちません。
私としましても、御来場の皆様と手を携え、更なる日中間の人的交流の発展、日中関係の未来に向け、共に歩き、希望の道を築くべく尽力してまいる決意であります。
最後になりますが、本フォーラムの御成功をお祝いし、そして皆様の御健勝と益々の御発展をお祈りして、私の挨拶とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。