垂大使が日中国交正常化50周年記念・日中友好交流会議に出席(2022年9月16日)

令和4年9月16日
垂大使が日中国交正常化50周年記念・日中友好交流会議に出席(2022年9月16日)
垂大使が日中国交正常化50周年記念・日中友好交流会議に出席(2022年9月16日)
9月16日、垂大使は、公益社団法人日中友好協会、中国人民対外友好協会、中日友好協会主催の日中国交正常化50周年記念・日中友好交流会議にオンラインで出席し、挨拶を行いました。

会議では、垂大使のほか、丹羽宇一郎・日中友好協会会長、林松添・中国人民対外友好協会会長、孔鉉佑・駐日中国大使、程永華・中日友好協会常務副会長(前駐日中国大使)が挨拶を行ったほか、二階俊博・衆議院議員がビデオメッセージを寄せ、唐家璇・中日友好協会会長による挨拶が読み上げられました。
 
 垂大使の挨拶は以下のとおりです。

 丹羽宇一郎・日中友好協会会長、林松添・中国人民対外友好協会会長、程永華・中日友好協会常務副会長、御来席の皆様、オンラインの関係者の皆様、おはようございます。
 
 まず初めに、本日、こうして日中友好交流会議が4年ぶりに開催されますことをお喜び申し上げます。本年は日中国交正常化50周年であり、今月末の9月29日には、まさにその記念日を迎えることとなります。
 
 この50年、日中関係は大きく発展しましたが、常に順風満帆というわけではありませんでした。現在の日中関係も、数々の挑戦に直面しています。そのうちの一つが、コロナ禍で招へいや集会を伴う各種交流が中止・延期を余儀なくされ、互いの対話と交流が圧倒的に不足していることです。
 
 50年前、両国の指導者は、戦略的思考と政治的勇気を持って、国交正常化を決断し、新たな日中関係をスタートさせました。その結果、日中両国は、文化的にも、経済的にも、互いに大きく影響を与えながら発展してきました。 国と国との関係も、突きつめれば人と人との関係です。日中国交正常化から今日までのこの50年間、日中間では、数え切れないほどの「互いに助け合う人間ドラマ」が生まれてきました。
 
 私事で恐縮ですが、私も50年には満たないですが、外交官として歩んできた約40年弱のうち、大部分の時間を中国関係の仕事に携わってきました。その中で、親友と呼べる2人の中国人と出会いました。1人は、80年代、南京大学での留学時代のルームメートであります。私は彼との共同生活を通じて、中国人の思考方法や生活様式を体をもって学びました。また、当時、春節の休暇を利用して彼と1か月間の旅行に出かけたことを懐かしく思い出します。当時は、ホテルの部屋も、乗る汽車も、中国人と外国人とは別々に分けられていて、中国人と外国人の学生が一緒に旅行するということは考えられませんでした。しかし、彼と知恵を絞りながら、苦労して何とか旅を続けたことは良い思い出です。もう1人は、90年代に大使館で書記官として勤務していた時代に、つい先日故人となられた佐藤元大使とある省長の会食の際、同省長の親族として参加していた人であります。彼との出会いは、「一見如故」という言葉が正にぴったりでした。当時から大変優秀な人でしたが、瞬く間に中国を代表する企業家の1人として成長されました。その過程で互いに何度も切磋琢磨してきました。あれから何十年もの歳月が経過しましたが、私と2人との友情は些かも変わりませんでした。また、2人とも、現在、日中間の架け橋となっており、日中関係の推進に大きな貢献を果たしてくれています。
 
 中国では「日中関係の基礎は民間にあり」とよく耳にしますが、そのことを実感することは容易ではありません。日中間の政治的関係が悪くなれば、常に最初に影響を受けるのが「民間交流」だからであります。そしてそのことは相互の国民感情にも、マイナスの影響を及ぼしているのが現実であります。私は常々、外部環境に影響されない、安定的な日中関係を構築することが極めて重要であると考えてきました。かつて戦略的互恵関係という概念を提案した際もまさにそうした考えに立ったからであります。そうした考えから、日中間の民間交流はその時々の政治関係の影響を受けてはならないと確信しております。私と二人の親友との「人間ドラマ」は、これまで日中関係がいかなる状況にあろうとも動揺することはありませんでした。政治的な外部環境に影響されない関係が構築されれば、それは極めて強固なものとなりましょう。  日本と中国の関係は、何千年にもわたる「互いに助け合う人間ドラマ」により連綿と紡がれた関係であります。今、我々に求められているのは、その伝統を次の若い世代に語り継いでいくことであります。こうした面において、両友好協会はこれまで重要な貢献を果たしてこられました。今後も両国間で更に多くの人々をつなぎ合わせ、新たな「人間ドラマ」の創出を支援いただけることを強く期待しています。
 
 最後になりますが、本日の会議が成功裏に開催されますこと、そして皆様のますますの御発展と御活躍を祈念して、私からの挨拶とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。