日中国交正常化50周年記念レセプションの開催(2022年11月1日)
令和4年11月2日









11月1日、駐中国日本大使公邸において、「日中国交正常化50周年記念レセプション」を開催し、多数の日中関係に縁のある皆さまのご列席を賜りました。
駐中国日本大使公邸の日本庭園での紅葉鑑賞、弓道、柔道、剣道、相撲といった日本武道のデモンストレーションや、お茶のお点前、生け花、中国で活躍する日本人歌手による歌唱、京劇、地方自治体による特産品の提供など、様々な形で日中双方の文化を楽しんでいただきました。
今回のレセプションでは、日中両国の国交正常化以来50年間の歩みを振り返る記念パネルが展示されるとともに、垂大使が写真家として撮影した日本の風景写真も展示されました。
垂大使は、レセプションの挨拶の中で、日中両国は、「永遠の隣人」である以上、共存していく意外に選択肢はなく、互いに立場が異なっても誠実に意思疎通を行い、「建設的かつ安定的な日中関係」を構築していくことが何よりも重要であることを強調しました。
垂大使による挨拶全文は以下のとおりです。
御列席の皆様、
本日は御多忙の中、日中国交正常化50周年記念レセプションにお越しいただき、誠にありがとうございます。
我が公邸の日本庭園の美しさは北京の外交団でも広く知られていますが、中でも一年を通じ春と秋が最も美しい見頃の時期を迎えます。3月末の桜満開の折の天皇誕生日レセプションに続き、本日公邸のもみじや桜が美しく紅葉する錦秋の時期に、こうして皆様をお迎えすることができ、日本大使としてとても嬉しく思います。
さて、本日は、国交正常化50周年を記念して、公邸大食堂にはこの50年間の交流を記録した写真パネルの数々を展示しています。一枚一枚の写真がこれまでの両国の歩みを雄弁に語りかけていますが、日中関係はこの50年間、必ずしも常に順風満帆というわけではありませんでした。いやむしろ、遊園地のジェットコースターのように日中関係は急な改善と悪化を繰り返してきたと言えるでしょう。ジェットコースターはスリルを味わう乗り物ですが、日中関係というジェットコースターに乗っている日中両国民にとってはたまったものではありません。日中関係のスリルを味わいたい者など、日中両国には誰ひとりいないからです。
これからの日中関係はジェットコースターではなく、ゆっくりと地道に走る普通電車がよいと、私は思っています。「平和共存」という目的地に向かって、急がずゆっくり走る。車窓には、日中両国の美しい風景と両国国民の平和で豊かな暮らしぶりが流れていく。今私どもに求められているのは、そうした「建設的で安定した日中関係」を構築していくことではないでしょうか。日中関係という普通電車を安定軌道に走らせるためには、日中双方の絶え間ない意思疎通が必要であり、それは相互理解につながり、そして相互信頼をうむ契機となるでしょう。
日中両国は、引っ越しのできない隣国であり、いわば「永遠の隣人」であります。共に「和」を重んじる国民同士、共存していく以外に選択肢はありません。日中両国は隣国であるがゆえに、様々な摩擦や立場の違いがあるのは正常なことであり、互いにこれを恐れてはなりません。我々が恐れなければならないのは、日中両国間で対話や意思疎通がなくなることであります。論語では「和して同ぜず」と教えています。我々は互いに立場が異なったとしても誠実に意思疎通を行い、主体性をもって安定的な関係を構築していけばよいのです。
私は外交官であるとともに、ひとりの写真家でもあります。これまでカメラのレンズを通して、日中両国の美しい自然の偉大さ、心に残る街並みの情景、庶民の喜怒哀楽を数多く切り取ってきました。そこから見える世界には日中両国にたくさんの共通点があることをよく承知しています。一人の外交官として、一人の写真家として、将来にわたり、この日中両国の美しい自然を守り、両国国民の幸福・安寧を願わずにはいられません。
本日は、日中国交正常化50周年をお祝いするため、たくさんの催しを予定しています。本日のレセプションを通じて、日中両国の意思疎通と相互理解の一助になれば幸甚であります。最後に今後の日中関係の更なる発展と御列席の皆様の御多幸を祈念し、私からの挨拶とさせていただきます。
御清聴、ありがとうございました。