日本への渡航を予定している皆様へ(劇症型溶血性レンサ球菌感染症(溶連菌)について)
溶血性レンサ球菌(いわゆる溶連菌)は、一般的には急性咽頭炎などを引き起こす細菌ですが、稀に引き起こされることがある重篤な病状として、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が知られています。
溶連菌咽頭炎については、日本において、2023年10月以降、過去10年間で最大規模の流行が起こっていましたが、STSSについても、昨年一年間の日本全国での届出報告数は941人(速報値)であり、1999年に統計をとりはじめて以降、最多であった2019年を上回りました。更に、本年は、6月2日時点の届出報告数は977人(速報値)と、昨年の届出報告数を既に上回っています。
STSSの患者数の増加の理由については必ずしも明らかではありませんが、経年的な増加傾向に加え、COVID-19の対策緩和以降、様々な呼吸器感染症が増加する中で、溶連菌咽頭炎の患者数が増加したことも原因の一つである可能性があると考えられます。
なお、溶連菌咽頭炎やSTSSについては世界的にCOVID-19の対策が緩和された2022年以降、多くの地域で増加が確認されており、昨シーズン流行した地域もあれば今シーズン流行している地域もあります。このような増加傾向については日本に限定されるものではありません。
なお、日本への渡航を予定されている方については、本疾患の流行を理由に旅行を取りやめる必要はありません。渡航に際しては、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置等の基本的な感染症対策をお願いします。
※2022年12月の欧州におけるSTSSを含む侵襲性A群連鎖球菌感染症(iGAS)の増加についての世界保健機関(WHO)の報告では、WHOは流行している国への渡航についていかなる制限も推奨していません。