平成30年 天皇誕生日祝賀レセプションの開催



冒頭,横井大使の挨拶の中で「40」と「30」という2つの数字を今年のキーワードとして挙げ,日中平和友好条約締結及び改革開放から40年を経て,日中関係が「新たな時代」へ入っていく旨,そして,今上陛下が今年御在位30年を迎えられ,明年4月30日に御退位されることから,今上陛下の御誕生をお祝いするレセプションは今回限りとなる旨述べ,陳暁東・外交部部長助理を主賓に迎えて乾杯を行いました。
レセプションには,過去最高の1630名の招待者が来場し,参加した日本企業の製品や日本各地の特産品を楽しみました。
横井大使による挨拶文は以下のとおりです。

尊敬する陳暁東外交部部長助理,
御列席の皆様,
本日は御多忙の中,お越しいただき,まことにありがとうございます。天皇陛下のお誕生日を,大切な中国の旧い友人の皆様,当地在住の日本人の皆様,外交団の皆様とお祝いできることを嬉しく思います。
皆様への御挨拶に当たり,「40」と「30」という2つの数字を今年のキーワードとして挙げたいと思います。「40」は日中平和友好条約40周年と中国の改革開放40周年,「30」は今上陛下の御在位30年です。
まず「40」です。 40年前の1978年10月,鄧小平副総理が日中平和友好条約批准書交換のために訪日し,企業視察や新幹線の乗車等の経験を経て当時の日本の様子に大きな感銘を受け,「今回の訪日で近代化とは何かがわかった。」という言葉を残されました。そして,その2か月後の12月18日に開かれた中国共産党第11期三中全会で改革開放がスタートしたのです。我が国は中国の改革開放を当初から一貫して支持し,協力してきましたが,それによって日中がともに発展してきました。私の外交官人生もこの40年にほぼ重なり,計6回も中国に駐在してその発展をこの目で見て参りましたが,今に至る目覚ましい発展ぶりに心から敬意を表します。
そして記念すべき日中平和友好条約と改革開放40周年の本年,5月には李克強総理が訪日され,先月は安倍総理が日本の総理として7年ぶりに中国を公式訪問しました。日中関係は過去何年か,大変厳しい時代を経験しました。私が着任した2年半前と比べても,ここまで大きく関係が改善したことには言葉にできない感慨を覚えます。そして,これからは,安倍総理が言われたとおり,日中関係は「新たな時代」へとそのステージを上がることになります。
御在席の皆様は,苦しい時にあっても両国関係の改善と発展を信じて歯を食いしばり,我々をお支えくださいました。そのことに心より御礼申し上げるとともに,皆様の御努力を無にしないよう,両国関係の更なる発展に向け,大使として全力を尽くすことをお誓いします。
次に「30」,今上陛下の御在位30年についてです。今上陛下は1989年1月7日に御即位され,明年1月に御在位30年をお迎えになり,4月30日に御退位されます。そして5月には新天皇が即位され,新しい年号が始まります。つまり,今上陛下の御誕生をお祝いするレセプションを開催するのは今回限りということになります。
今上陛下の御代を表す日本の年号「平成」は,史記と書経にその由来があり,中国とも関係の深い言葉です。過去30年間,日本国内でも日中関係においても様々な出来事がありましたが,その時代が幕を閉じるにあたり,日中関係がその名のとおり平和で,穏やかなものになりつつあることにも感慨を覚えずにはいられません。
今上陛下は1992年に皇后陛下とともに日本の天皇としては史上初めて中国を訪問されました。私は今でも両陛下が北京,西安,上海の各訪問先で中国の皆様から熱烈な歓迎を受けた様子を鮮明に覚えています。今上陛下の御訪中は,改革開放に対する支援とはまた別の意味で,我々日本国民に隣国中国と末永く仲良くすることの大切さを教えてくれました。その今上陛下の御退位前の最後のお誕生日をこうして皆様とともにお祝いできますことを,駐中国日本国大使として大変嬉しく思う次第です。
さて,本日は,日本各地の魅力や先進技術の紹介,日本の誇る美味しい日本産米を用いたお食事やお酒,更に呈茶のコーナーも設けております。美容,健康,旅行といった,より質の高い生活、豊かな時間を希求するという中国のライフスタイルの変化を後押しする日本製品や,開催を2020年に控えた東京オリンピック・パラリンピックについても紹介しています。本日,様々な製品等を御出展・御協賛いただきました81の企業・団体の関係者の皆様に,この場を借りて厚く御礼申し上げます。
また,本年,我が国で相次いだ豪雨,台風,地震等の自然災害に対し,中国の皆様からたくさんの温かい御支援をいただいたことにも,この機会に改めて心より御礼申し上げます。
結びに,皆様と共に天皇・皇后両陛下の末永い御健勝を今一度お祈り申し上げるとともに,御列席の皆様の御健勝と日中関係の更なる発展を心より祈念して,私の挨拶とさせていただきます。