江蘇省南京市において、最近、相次いで2例の高病原性鳥インフルエンザの人への感染病例が発生しました。衛生部等の公式発表に基づく現在の最新情報は下記のとおりです。
【公式発表に基づく事実関係】
1.経過
(1)病例1(患者:24歳、男、死んだ家禽類との接触歴なし)
11月24日 発熱、悪寒等の症状を発症
11月27日 肺炎で入院
12月 1日 江蘇省衛生部局が鳥インフルエンザウイルス核酸H5陽性、NI陽性を確認
12月 2日 中国衛生部が鳥インフルエンザウイルス核酸H5陽性、NI陽性を確認
同日 患者死亡
(2)病例2(患者:52歳、男、病例1の父親)
12月 3日晩 発熱症状を発症、入院
12月 5日 江蘇省衛生部局が鳥インフルエンザウイルス核酸H5陽性、NI陽性を確認
12月 6日 中国衛生部が鳥インフルエンザウイルス核酸H5陽性、NI陽性を確認
12月10日現在 治療により病状は安定し、好転しつつある
2.感染源
(1)病例1、病例2とも感染源は調査中であり、判明していない。
(2)病例2の感染については、流行病学的な調査によれば、次の可能性がある。(ア)病例1と密接な接触により感染した、(イ)病例1とともに感染した、(ウ)別々に感染した。しかしながら、この3つの状況については、どれであるかは確定しておらず、2つの病例の感染源については、現在深く調査を進行中である。
3.病原学検査結果
病例1の標本より分離したウイルス核酸序列分析の結果、ウイルスは禽源性であり、本質的な変異は発生しておらず、人から人へうつる生物学的な基礎は備えていない。
4.患者と密接に接触した者の状況
病例1と密接に接触した69名のうち病例2を除いては、異常な臨床状況はなく、現在55名が医学的な観察から解除された。病例2とは20名が密接に接触しているが(そのうち、6名は病例1,2とも密接に接触した者)、現在厳密な医学観察を行っており、目下のところ、すべての密接な接触者に異常な臨床的状況はない。
【当館からの注意喚起】
1、本感染により、中国国内で確認された鳥インフルエンザ感染者数は27人で、そのうち17人の死亡が報告されています。
2、今回の事例の感染源については、現在、調査中であり、断定したことはいえませんが、結果的に中国国内では初となる人から人への感染事例になる可能性は排除できません。(全世界では、インドネシア、ベトナム、カンボジアにおいて、限定的なヒトーヒト感染の報告事例があります。)一方で、衛生部発表にあるように、本件が家族内等の密接な接触者への感染にとどまれば、現在のフェーズ3の状態が直ちにフェーズ4の状態になることはないものの、引き続き情報収集等の注意を要します。
(参考:WHOによるフェーズ分類)
★フェーズ3
新しい人感染(複数も可)が見られるが、ヒトーヒト感染による拡大は見られない、あるいは非常にまれに密接な接触者(例えば家族内)への感染が見られるにとどまる。
★フェーズ4
限定されたヒトーヒト感染の小さな集団(クラスター)が見られるが、ヒトーヒト感染は依然限定的で、ウイルスは人への適合を高めているが、まだ完全に感染伝播力を獲得していない(著しいパンデミックリスクを有していない)と考えられる。
(邦訳出典:「新型インフルエンザ対策行動計画」(平成17年12月、平成19年10月改訂。)鳥インフルエンザ等に関する関係省庁連絡会議)
3、在留邦人の皆様におかれましては、当館ホームページ等の最新の情報に注意いただき、また、日常生活など可能な範囲の予防を十分していただくようお願いいたします。当館では従来より下記の点をお願いしています。
(日常生活上の注意)
- 石けんでの手洗い、うがいなど通常の感染症予防対策を励行すること。
- 生きた鳥に近寄らない、できるだけ飼育しない、死んでいる野鳥などに触れないこと。
- ウィルスは加熱(70度で5分間)により死滅しますが、冷凍では死滅しないので調理時は十分な加熱をし、卵や調理道具は十分洗浄すること。
- 発生地域へ旅行する場合は、特に外務省海外安全ホームページ、感染症情報等を確認する等十分な注意を払うこと。
- 食料、飲料水等の備蓄を行うこと。
鳥インフルエンザに関する関連情報等については、当館ホームページ領事情報(「中国における鳥インフルエンザの発生状況~鳥にはむやみ近寄らないでください!~」)もご覧下さい。
(http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_i/birdflu_i.htm)
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