【対中ODA40周年】令和元年度 開発協力プレスツアーの実施(その2:山西省大同市)

2019/11/12
前回の記事:【対中ODA40周年】令和元年度 開発協力プレスツアーの実施(その1:北京市)
 

10月12日(土)

 記者一行は大同市に向かい、日本のNGO・緑の地球ネットワークの高見邦雄副代表、緑の地球ネットワーク大同事務所の魏生学所長の案内のもと、緑の地球ネットワークが大同市総工会(2002年までのカウンターパートは中国共産主義青年団)の協力により、1992年から大同市において実施した緑化プロジェクト等を視察しました。

★遇駕山村上水道整備計画
 草の根・人間の安全保障無償資金協力のプロジェクト実施前、遇駕山村の村民は飲用水の確保が困難な状況であり、何度も井戸掘りが試みられていたものの、そのたびに失敗し、2007年当時県内で最も深刻な水不足に悩まされる村の一つでした。集落のはずれにある給水塔と井戸を見学しながら、緑の地球ネットワーク高見副代表より井戸掘りに取り組むきっかけや苦労について聞いた後、民家を訪ね上水道の使用状況についてインタビューを行いました。井戸から各家庭に引かれている上水道は現在も飲用水として使用されています。
昔使用されていた貯水式井戸。
水位が低下し、雨の比較的多い秋季に少量の水を得ることができるだけで、その他の季節には村民はタンクにラバを積み、約3km離れた隣村まで水を購入しに行かなければなりませんでした。
遇駕山村上水道整備プロジェクト通水式の様子(2008年)

現在の給水塔(2019年8月)

井戸から民家に引かれた上水道
 
★采涼山の緑化プロジェクト・サイト
 采涼山の緑化プロジェクト・サイトは植物の育ちにくい南斜面であり、水土流出が続いて土がやせているうえ、周囲の村が貧しすぎて植林後の管理が保障されないという悪条件が揃い、それまでに行った植林が失敗した経験からも緑化成功の見込みはないとされていました。緑の地球ネットワークは外務省の無償資金協力や日中緑化交流基金(注)による助成を受け,1999年春に最初の植栽を行い、2004年まで6年かけて230haまで広げてきました。菌根菌や整地作業など技術の工夫によって成功させた采涼山のプロジェクトは緑化の成功モデルとして知られるようになり、多くの見学者が訪れ、それが呼び水となって周囲に670haもある国家プロジェクトがやってきたとのことです。

施工式の様子(1999年4月)
プロジェクト実施前、あたり一面に
樹木はなく、草もまばらでした。

プレスツアー時の采涼山(2019年10月)
高見副代表は植栽時の苗の大きさを示しながら、
どれほど育ったのかについて解説していました。
 
★実験林場「カササギの森」
 「カササギの森」は,2001年から采涼山プロジェクトの地続きにつくられた実験林場です。カササギの森の建設にあたっては、公益社団法人国土緑化推進機構・緑の募金の助成を得ることにより管理棟、灌水設備、農用車などが整備されたほか、個人や企業その他から1haあたり5万円で寄付を募りました。これにより、2001年から2011年までに37,134,131円(2,617,876元)を投じて、554haに、163万本の苗木を植えることができました。

植林前、整地作業の様子

カササギの森(2019年)
 
★緑の地球環境センター(中日合作白登環保中心)
 緑の地球環境センター(中日合作白登環保中心)は2011年より建設が開始された緑化協力基地です(面積23ha)。ここでは、JICAによる草の根パートナー型技術協力と日本大使館草の根・人間の安全保障無償資金協力により、育苗区、生態園などが整備され、植林が行われました。

整地作業の様子

育苗区(2019年)
 
(注)日中緑化交流基金:中国では、1998年の長江の大水害を契機に、小渕恵三総理大臣は1999年7月の訪中の際、百億円規模の基金設立構想を発表し,1999年11月19日、日中両国政府間において交換公文が取り交わされ,日中民間緑化協力委員会がが設置されました。2000年度から日本の民間団体が中国側カウンターパートと協力して行う植林事業に対する助成を行っています。

 これまで、中国国内の29の省・自治区・市において、277件の植林事業に助成し、累計7万ヘクタールを超える面積の植林が実施されました。助成を受けた日本国内の団体は82団体、これらとタイアップして植林を実施した中国側の団体は73団体です。

 なお、基金の残高が少なくなったことから、助成事業は2018年度をもって終了することとなりました。