垂秀夫大使 着任挨拶

令和2年11月26日
垂大使
 この度、在中国日本国大使として着任いたしました垂秀夫です。令和2年9月16日に特命全権大使としての発令を受けました。

 新型コロナの影響で北京への赴任が通常より後ろ倒しとなったため、この期間を利用し、日中関係に関わりのある各所への挨拶回りを積極的に行いました。具体的には、菅総理をはじめとした全ての関係閣僚から御指示を受けると共に、約150名の国会議員、100社を優に超える日本企業の幹部等と意見交換を行いました。

 そうした中、少なからずの方から「中国と今後どう付き合っていくかが日本の未来を決する」との発言がございました。今般、日本にとってこれほど重要な国を担当する大使として赴任できることを心から嬉しく思うと同時に、その責任の重大さを痛感した次第です。

 これから大使として、日本の国益を踏まえ、中国側と種々の交渉を行うと共に、邦人保護や日系企業支援等の最重要任務に取り組んでいきます。そのためには、外部環境に左右されない、安定的で建設的な日中関係の構築が重要であり、その構築のために微力ながら尽力していく所存です。

 日中の近現代史を振り返れば、一時期不幸な歴史はありましたが、双方が共に助け合う素晴らしい人間ドラマもたくさんありました。日本の近代化の幕開けとなったペリー来航の際、一行に加わっていた羅森という中国人が重要な役割を果たしましたが、今やほとんどの方がそれを知りません。一方で、辛亥革命の中心的人物である孫文や黄興に対し、日本が朝野をあげて多大な支援をしたという歴史もあります。日中関係は、こうした心と心が触れ合う人間ドラマが織りなす関係であり、そうした意味では、世界でも比類のない関係であると言えます。

 現在もこうした人間ドラマは続いており、大使としてそれらを支援し、また、自分自身もその参加者のひとりとして関わっていきたいと考えています。

 両国の更に多くの皆様が、この日中関係という人間ドラマの形成に重層的に関わられることを期待しています。

 皆様方の御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。